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稀勢の里、19年ぶり日本出身横綱に 遅い昇進でも期待盛り上がる

   実に19年ぶりの日本出身横綱の誕生は、相撲協会にとっても悲願であった。「きせのん」こと稀勢の里(30)が大きな話題である。

   2002年に中学卒業とともに鳴戸部屋(現田子ノ浦部屋)へ入門。入る決め手は「角界一多い稽古量」だったという。週刊文春で相撲関係者がこう語っている。

「一日に百番取るのが当たり前。馴れ合いを生まないよう出稽古も禁止で、"各界の北朝鮮"とも言われていた」

   好きな言葉は「我慢と辛抱」。初土俵から頭角を現し、史上2番目で新入幕を果たし、19歳11カ月で三役に昇進する。

   週刊新潮で相撲ジャーナリストが、21歳2カ月で横綱になった北の湖が「自分と同じかそれより上のレベルだ」といっていたぐらい、将来を嘱望されていた。だが、大関になり5回の綱取りに挑むが肝心なところで「勝負弱さ」を露呈し、ことごとく失敗してしまう。

   そんな苦闘の末、新入幕から73場所、昭和以降最も遅い横綱昇進となった。白鵬に明らかに衰えが見えた今、稀勢の里に集まる期待は大きい。茨城県牛久市出身。好きな音楽は「浪曲」。風俗店には兄弟子たちと出かけていたようだが、独身である。

トランプ大統領、弾劾本命と見る米・賭けサイト

   さて、トランプ大統領が始動した。TPPから離脱、メキシコ側に壁を作るという大統領令に早速サインした。公約を次々実行していくトランプに、次は大幅減税だと勢いづいたのであろう、株価が初めて2万ドルを突破した。

   だが、こちらのほうはそう容易くはいかないだろう。浮かれすぎないほうがいい。

   週刊新潮は、英米の賭けサイトがトランプ占いで活況を呈していると報じている。「就任中に暗殺される」のオッズは101倍。「核戦争を始める」はさすがに251倍だそうだが、トランプ大統領が4年の任期中に弾劾されるか辞任するかの配当は「イーブン」だそうだ。

   つまり100円賭けたカネが200円になるだけの「大本命」ということだ。週刊新潮は皮肉に「『分断された米国』とのイメージとは裏腹に、彼の国は反トランプで『一致団結』しているようにも映る」と書いている。

トランプ「お粗末なツイッター職人」とニューズウィーク

   ニューズウィーク日本版は、わかりにくいトランプの考え方や政策を、当選後から就任まで、彼がツイッターで呟いた315件を分析することで類推しようという特集を組んだ。

   最も多かったのは愚痴で63件、総じて「みんなが自分を不当に扱っている」という泣き言。

   2番目はイベント関連。次が一般的なニュースについて。自画自賛、侮辱、拡大解釈した外交関連が27件。大統領選を蒸し返すツイートが26件。クリスマスや新年の挨拶が17件。次期政権の人選が16件。大統領職とファミリービジネスの「利益相反」に関するものが6件。

   ここから見えてくるのは「国内政治より復讐に関心があって、外交問題より自分の不満が大切で、新政権の人選より自慢話に忙しい男だ。どのような話題にも集中できない散漫さもあらわになった」(ニューズ)という。

   ニューズはトランプを「お粗末なツイッター職人」だとしている。困ったものだ。

『青春の門』23年ぶりに復活した週刊現代

   ところで、あの「シンスケしゃん」が帰ってきた。週刊現代で五木寛之の『青春の門』が23年ぶりに復活したのだ。

   連載の最初は1969年。九州・筑豊で生まれた伊吹信介の少年時代。早稲田大学に進学してからの青春時代は私の青春と重なる。

   連載開始から話題になり、現代版『人生劇場』(尾崎士郎)として多くの若者に熱狂的に受け入れられ、現代の部数が数万部伸びたといわれた。

   75年に封切りされた映画『青春の門』で、吉永小百合が大胆な自慰シーンを演じ、われわれサユリストの感涙を誘った。

   だが、90年の「挑戦篇」で一旦途切れる。しばらく間が空くが、93年に「風雲篇」が再開され、伊吹信介がシベリアへ密航するところで途切れてしまう。

   その93年は、私が週刊現代編集長の時だった。五木さんに呼ばれて旧東京プリンスホテルで会う。五木さんから連載を再開したいと思うと打ち明けられ、もちろん二つ返事で引き受けた。 再開したが、シベリア以降の信介がどう生きていくのか、五木さんにも迷いのようなものがあったのではないか。

   しばらく続けたが、やはり五木さんのほうから、中断したいと申し入れがあった。

   私はその時点で『青春の門』は終わったと、正直思った。

   だが、84歳になった五木寛之が23年ぶりに『青春の門』を再開するというのだ。

   間違いなく、これが最後の連載になる。第一回は、ソ連製の四輪駆動が夏の終わりのシベリアを疾走するシーンから始まる。

   1961年。ソ連のフルシチョフとアメリカのケネディが注目を集めていた時代。

   団塊世代の「人生劇場」がどのような結末を迎えるのか、それとも未完で終わるのか。あの時代を思い出しながら読んでいきたいと思っている。

笑顔が素敵だった松方弘樹の訃報

   松方弘樹という俳優を、私はさほど好きではなかった。勝新太郎や萬屋錦之介のような豪放磊落さを気取っているが、無理している、本来は気の弱い男ではないかと思っていた。

   彼の酒好きは有名で、松方本人が最高記録は「ウイスキー5本に日本酒一升」だと語っている。

   女好きも有名で、32歳の時、週刊誌のインタビューに「八百人にちょっと欠けるかな」と語っている。女優の仁科亜季子と結婚・離婚。歌手の千葉マリアとの間にも子どもがいる。

   だが、そんな彼も還暦をすぎた頃、医者に忠告されてから、酒をピタリとやめ、クラブへ行くこともなくなっていたという。

   晩年はもっぱら釣りだった。沖縄・石垣島で361kgのマグロを吊り上げたこともある。スケジュールの3分の1は釣りだったそうだ。

   その彼が脳リンパ腫という10万人に1人といわれる難病で倒れたと聞いていた。

   今週の週刊現代は「がんばれ、松方」とエールを送っている。だが、残念なことに、発売前の21日(2017年1月)に息を引き取っていた。

   最後まで看取ったのは元祇園のホステスだった30歳年下の山本万里子だった。彼女は入籍せずに松方に付き添って生きてきた。

   週刊新潮によれば、愛の巣だったマンションも引き払われ、金銭的余裕もなかったのではないかという。

   はにかんだような人なつこい笑顔が素敵な俳優だった。今夜は『仁義なき戦い』を見ながら酒でも飲もう。

"輝き"のない曜変天目茶碗に真贋騒動

   今年で放送開始から23年目を迎えるテレビ東京の看板番組『開運!なんでも鑑定団』に真贋論争が起きているとポストが報じている。「NEWS ポストセブン」でことの経緯を見てみよう。

「〈『なんでも鑑定団』始まって、最大の発見ですね〉
〈国宝になっていたかもしれない大名品です!〉」

   番組内でこう高らかに宣言したのは、レギュラー出演する古美術鑑定家の中島誠之助氏だ。

   昨年12月20日の同番組では、世界に3点しかないとされる中国の陶器『曜変天目茶碗』の"4点目"が新たに見つかったと放送された。

   この茶碗を持ち込んだのは徳島県のラーメン店店主だった。"お宝"は明治時代に大工をしていた店主の曾祖父が、戦国武将・三好長慶の子孫の屋敷を移築した際に大枚をはたいて買い求めたもの。25年以上も押し入れの"肥やし"になっていたが、気になって番組に鑑定を依頼したという。(中略)

   放送では、いつものように中島氏が虫眼鏡を用いてじっくりと茶碗を鑑定した。司会の今田耕司が『オープン・ザ・プライス!』と声をかけると、電光掲示板に示された数字は『25,000,000』。番組最高額(5億円)にこそ達しなかったものの、鑑定結果にスタジオはどよめきと拍手に包まれた。(中略)

   鑑定後、中島氏は『曜変天目に間違いございません』と断言。『信長、秀吉、徳川家康が持ってさらに現代に伝わっていれば、国宝になっていたかもしれない』と解説したのである。

   南宋時代(12~13世紀)の中国で製作された曜変天目茶碗は、"星々"を思わせる美しく輝く模様を持ち、『茶碗の中に宇宙が見える』と評される。完全な形で残るのは世界で3つとされ、すべて日本に現存する。それらはいずれも国宝である。番組放送後、"4つ目の国宝発見"となる大ニュースを新聞各紙は『幻の陶器発見』と相次いで報じた」

   だが、この世紀の大発見に異を唱える専門家が現われたというのだ。窯業で知られる愛知県瀬戸市在住の陶芸家・九代目長江惣吉氏である。長江氏が「番組を見ていて思わず絶句しました。どう見ても中国の商店街で売っているまがい物にしか見えなかった」と語っている。

   この長江氏、曜変天目にかんしてはプロ中のプロなのである。その美しさに魅了された長江氏は、製造方法が未だ解明されていない「幻の陶器」の完全再現に親子二代にわたって挑んでいるという。

   これまで中国にも28回赴き現地の研究者との交流を重ね、昨年、NHKがその活動を番組で特集したほどの「曜変天目のプロ」なのだ。

   その長江氏が鑑定品を「偽物」と判断する最大の根拠は「光彩」だそうだ。

   「曜変天目茶碗は、鉄分などを原料とする釉薬をかけて焼かれる。最大の特徴は、前述したように茶碗の内側に広がる鮮やかな光彩であり、光と見る角度によって輝き方がガラリと変わる。

   徳川家康など時の権力者にも愛でられたとされる逸品だが、今回鑑定された茶碗には『肝心の輝きがない』と長江氏は指摘する。

『そもそも"曜変"とは"光り輝き、変幻する"を意味します。本来、曜変天目の釉薬には天然材料が使われており、焼き方によって色合いが変化して、ブラックオパールのように鮮やかな光彩が発現します。しかし、鑑定団で紹介された茶碗は変幻する光彩ではなく、単に赤、緑、青などの釉薬がそのまま発色したものに見える。これは東洋的な味わいに欠ける』

   鑑定品は色合いから見て、18世紀以降に作られたものだと長江氏は推測する。

   『おそらく、ヨーロッパで18世紀以降に開発された陶磁器釉薬用絵具の「スピネル顔料」を塗り付けて発色させたもので、私は描彩天目と呼んでいます。時代からみても宋代の作品ではありません。器の外側に雲のような模様が出ていることも不可解です。国宝の曜変天目には、器の外側にほとんど模様がありません。鑑定品のような茶碗は今も福建省の建窯周辺にある"倣製品工房"で大量に作られており、2000~3000円で購入できます」

   ポストの取材に、テレビ東京側は「特にお答えすることはない」、鑑定家の中島氏には「回答を得られなかった」そうだ。

   私も曜変天目茶碗は好きだが、たしかに本物だとしたら、この値段は安すぎる。高名な鑑定家でも判断を誤ることはあるだろう。中島氏は逃げないで、判定した理由をもう一度視聴者に説明すべきである。

   それともこの番組は鑑定バラエティショーだから、勘弁してよというのだろうか。