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トランプ大統領の最側近フリン補佐官が辞任 ほかにも更迭候補の名前ちらほら

   ホワイトハウスの新しい安全保障政策担当であり、日米のパイプ役でもあったマイケル・フリン大統領補佐官が昨日(2017年2月14日)電撃辞任した。理由は、「副大統領らに、不完全な情報を伝えてしまった」というのだが、意味がわからない。早くも権力闘争と読む向きもある。

   フリン氏が大統領候補と並んで表舞台に出るようになったのは、昨年秋の大統領選大詰めの段階。「勢いがぐっと変わって、国民が真に目覚め始めたと感じています」といっていた。補佐官への就任も、予定通りだった。

就任前の外交への関与、問題に

   それがおかしなことになった。発端は昨年12月、前のオバマ大統領が、選挙後にとった措置。大統領選挙でロシアがトランプ氏を勝たせるためにサイバー攻撃を仕掛けたとして、ロシアの外交官に国外退去などを命じた。その同じ日に、フリン氏がロシアの駐米大使に複数回電話をかけていた、というのだ。

   選挙後とはいえ、当時フリン氏はまだ民間人。これが国の外交に関わることは許されていない。フリン氏は始め否定していたのだが、ワシントン・ポストなどが、複数の政府当局者の話として、「制裁問題を協議していた」と伝えたことから、窮地に立たされた。

   トランプ氏は報道が出た10日、「フリン氏の疑惑については知らないし、見ていない。調べてみるよ」と言っていたのだが、昨日夜になって、フリン氏の辞任を発表した。フリン氏は声明で「不注意にも、ペンス副大統領やその他の人たちに、不完全な情報を伝えてしまったと」と大統領や副大統領に謝罪したことを明らかにした。嘘をついたということなのか。

   どっちにしても、ロシアの外交官追放問題に関わったことが漏れては具合が悪い。いわば、権力に慣れていない集団だけに、そのあたりの見極めがつけにくいのかもしれない。

昨年来日し、菅官房長官とも会談

   フリン氏は昨年10月に来日し、菅官房長官と会談しているほか、先週の日米首脳会談にも同席している。しかし、考えてみれば、昨年10月はまだ民間人のはず。官房長官との話の中身次第では、これも問題になりかねない。

   アメリカ政治に詳しい中林美恵子・早大准教授は、「直接的な言葉がなかったとしても、これは明らかに大統領の決断であり意思であるというところに行き着く」という。

ホワイトハウスの権力闘争に敗れた?

   また、フリン氏は安全保障担当の大統領補佐官で、国家安全保障会議の理事になる。そこにスティーブン・バノン首席戦略官が常任委員として入った。「ホワイトハウスは朝から晩まで権力闘争。いかに大統領に近づき他を蹴落とすかの競争」。「影の大統領」と言われるバノン氏との争いに敗れたのが、辞任の一因だという。

   報道はまた、トランプ大統領が複数の側近に不満を漏らしているとも伝えている。スパイサー報道官の名前も上がっている。大統領就任式に集まった人の数が少ないと報じた時、ムキになって「これまでで最大だった」とやった男だ。大統領は、会見でも受け答えや態度に不満があると言っているという。

   プリーバス首席補佐官についても、後任の人選を始めたと伝えている。

   権力に慣れるには時間がかかる。トランプ氏の周りに立って拍手しているだけではダメ。といって、踏み込みすぎると「首だ!」となりかねない。これではなかなか人材は育つまい。