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金正男氏、暗殺手口は「液体含んだ布」 女性2人はタクシーで逃亡

   「昨夜は驚きましたね~」と司会の小倉智昭が開口一番伝えたのが、北朝鮮の故金正日総書記の長男、金正男氏暗殺の衝撃ニュースだった。

   一報を伝えたのは14日(2017年2月)午後8時過ぎの韓国からのニュース。「北朝鮮の金正恩労働党委員長の異母兄、金正男氏がマレーシアで殺害されていたことが確認されました」と報じた。

   マレーシア国営メディアによると、13日午前9時ごろ、マレーシアのクアラルンプール国際空港内で、男性が苦しみながら空港スタッフに対し「背後から近づいてきた女に液体を含んだ布を被らせられ目をやけどした」と話した。

   男性は空港近くの病院に搬送される途中で死亡が確認された。マレーシア警察は、北朝鮮のパスポートや生年月日から金正男氏と断定した。

   犯人とみられる女は2人おり、犯行直後タクシーで逃走したという。韓国メディアは殺害したのは金正恩委員長が送り込んだ女スパイで、一部メディアは毒針を使って殺害したとも報じている。

後継者候補の一人だった金正男氏

   金正男氏は、故・金正日総書記と故・成恵琳の間に生まれた長男。故・高英姫との間に生まれた3男の金正恩委員長とは異母兄弟。父親の重病説が流れる中で後継者候補の一人と噂されたこともあったが、金正日総書記が3男の金正恩委員長を後継者に指名したことから歯車が狂った。

叔母の死から運命が暗転

   運命を決定づける出来事があったのは3年前の2013年12月、北朝鮮のNO2 で金正男の後ろ盾だった張成沢が、金正男を担いでクーデターを企てたとして処刑されたことから。

   番組にゲスト出演した朝鮮半島の政治・外交事情に詳しい東京国際大学の伊豆見元教授は悲運ともいえる金正男の運命を次のように見ている。

   「金正男の母親である成恵琳は韓国から来た人。その息子だから後継者としての正当性がなく、(後継者に)なれない。ただし、将来もうちょっと年を取ると権力者の地位を狙えるような立場にいる人ですから今の体制からは目の上のたんこぶだった。

   処刑された張成沢の夫人は金正自治総書記の実の妹ですから金正男にとって夫人は叔母に当たる。その夫人が金正男をかわいがっていたが、2013年9月に亡くなったのが実は大きかった」 

   このため金正恩委員長が暗殺指令を出したと伝えらたこともあったが、ではなぜこの時期に暗殺を強行したのか? 伊豆見教授は「金正恩体制になった5年、権力基盤が固まったという感じで、自信を持ってきた。排除できると考えたのかもしれない」と話す。

   小倉が「処刑や暗殺が続くと、今の北朝鮮ではクーデターとかは起こり得ないですかね」と尋ねると、伊豆見教授は「それを一番気にしているのが権力者。金正日総書記の時代にも軍の中で不穏な動きがあったのがつぶされたと言われている。それは今も変わりない。ちょっとでもそういう動きがあれば徹底してつぶしていく」という。

   コラムニストの深澤真紀が「まるで中世の王室。シェイクスピアの4大悲劇になりそうな話だ」と漏らしていたが、まさに暗黒の中世そのものの国が隣りでミサイルの実験に狂っている。