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北朝鮮大使館にかくまわれている重要参考人どうなる? 事実上断交したマレーシアと北朝鮮

   北朝鮮の金正男氏が殺害された事件で、マレーシアから国外退去を求められていた北朝鮮のカン・チョル大使が、昨日夜(日本時間今日=2017年3月7日未明)北京に着いた。両国関係は事実上の断交状態に入った。今後の焦点は、大使館内にかくまわれていると見られる、事件の重要参考人の扱いに移る。

   カン大使はクアラルンプール空港で、「40年余りの親善関係の歴史にふさわしくない極端な措置を取ったことを遺憾に思う」と話した。同大使は、金正男氏殺害事件後、強硬に遺体の引き渡しを求め、遺体を解剖したことに抗議を繰り返していた。さらに、大使館内にかくまっていると見られる、事件の重要参考人2人への事情聴取要請にも応じなかった。

   「マレーシア警察の捜査は信用できない。何者かが後ろで手を引いている疑いがある」(2月20日)とまで言っていた。

   マレーシア政府はこれに不快感を表明、大使に謝罪を要求したが応ぜず、外務省の呼び出しにも答えなかったため、「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」として先週土曜日(4日)、48時間以内の国外退去を求めていた。

マレーシア、北朝鮮にビザ義務化

   一方北朝鮮も対抗してマレーシアの在平壌モハマド大使の追放を発表したが、同大使はすでに召喚されている。

   マレーシア政府は2日には、これまでのビザなし渡航を改め、ビザの取得を義務付けていた。3日には、事件で逮捕していた北朝鮮のリ・ジョンチョル氏を証拠不十分で釈放、国外退去処分とした。さらに互いの大使の追放で、事実上断交状態になった。

   マレーシアの強硬措置について、共同通信の磐村和哉編集委員は、「首都の空港で化学兵器によるテロが起こった。これだけでも十分に主権の侵害行為です」という。国交がなくなっても、マレーシアが困ることはまずない。

   司会の夏目三久が、「2月13日の金正男氏殺害以降の経緯」を整理して見せた。「北朝鮮も大使を追放しました」

   龍崎孝(流通経済大学教授)「外交は相互主義ですから、やられたらやり返すのが原則。やらないと非を認めたことになる。今回の場合、金正男氏殺害に北朝鮮が関与していたことを認めることになってしまう。当面両国関係は悪化が続く」

ミサイル4連発はTHAAD(迎撃ミサイル)の無力化狙いか?

   その北朝鮮は昨日(6日)、西部の東倉里から4発の長距離ミサイルを同時発射した。いずれも高度260kmに達し、約1000kmを飛んで日本海に落下したが、うち3発は秋田県沖の日本の排他的経済水域内に落下したとみられる。

   安倍首相は参院予算委で「新たな段階の脅威」と警戒感を表明したが、これに米のトランプ大統領も、「日本の立場を100%支持する」と応じた。ミサイル発射は「国連安保理決議違反。強く非難する。あらゆる手段を用いて高まる脅威に対抗する準備はできている」との声明も出した。

   専門家は、北の狙いは、韓国に配備されるTHAAD(迎撃ミサイル)の無力化だと見る。4発同時に発射されたら、THAADは対応できないからだ。それと1日から始まった米韓合同軍事演習をけん制する狙いだと。まだ、打ち上げが予想されるともいう。困った隣人だ。