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被害額3200億円!海賊版サイト「漫画村」追い詰めろ!海外プロバイダー介して闇に隠れる運営者

   新作を含め、5万冊以上の漫画が無料で読み放題という海賊版サイト「漫画村」のため、漫画家が窮地に追い込まれている。3月(2018年)にサイトを訪れた数は延べ1万7000人を突破し、運営者は莫大な広告収入を稼いだとみられ、被害額は3200億円にもなる。

   運営者はいったい誰なのか。NHKの漫画村問題取材班がIPアドレスからサーバー会社を探すと、アメリカ・アリゾナ州フェニックスにあるクラウトフレア社にたどり着いた。世界有数のサーバー管理会社で、顧客に代わって動画やデータを配信するサービスを行っている。しかし、漫画村のサーバーはここにはなく、ウクライナの会社だという。首都キエフのアパートが住所になっていた。訪ねると、父親を名乗る男性が「彼(経営者)は4年前に殺された」と話す。しかも、会社は別の会社に買収されていた。

   買収した会社は旧ソ連時代の倉庫のような建物で250台のサーバーを管理していた。この中に漫画村のデータがあるが、オーナーは「借りているのはアジアの企業。それ以上は言えない」という。

   鎌倉千秋キャスター「ウクライナのサーバーは、スウェーデンのプロバイダーを介して漫画村側と契約していることが、今回、はじめて明らかになりました。そのスウェーデンのプロバイダーは防弾ホスティングと呼ばれる、契約者の情報を徹底的に秘匿するサービスを提供している会社でした」

店はガラガラなのに妙に金払いのいい飲食店経営者

   漫画村を追及しているホワイトハッカーが、サイト運営者に近づく情報を見つけた。1年前のサイトの登録情報の中にA社の名前が記され、さらに探るとBという人物の名前が出てきた。名前は漫画村に関連しているとみられるメールアドレスと一致した。 調べると、Bは2年前まで東京都内で飲食店を経営していた。飲食店はなくなっているが、ビルのオーナーはBをよく覚えていた。「店はいつもガラガラなのに、家賃はきちんと払ってくれたし、従業員の給料もきちんと払っていた。金を持っていたね」と話す。

   Bの携帯電話に電話をすると、本人が出た。サイト運営者かどうか聞くと、「違いますね」と否定したが、A社を立ち上げたのは自分だという。「A社は広告代理店とかプログラム開発ですよ」という。

隠しスペースで大手企業から広告料かすめ取り

   「クロ現+」は運営者までたどり着けなかったが、収入源になっている闇の広告の実態はわかった。広告はアダルト系、洋服、香水などさまざまだが、画面をスプロールさせていくと、終わり部分の下にさらに隠しスペースがあった。表示させると、銀行や不動産会社など大手企業の広告が数多くあった。つまり、実際に見られていない別のサイトの広告も閲覧したとカウントされる仕組みだった。漫画村の運営者はそのサイトの広告収入の一部を得ているようで、ネットセキュリティー専門会社は「広告主側も騙されている二重の詐欺につながる行為だ」と指摘している。

   漫画村のサイトは17日午後(2018年4月)から閲覧できなくなっている。運営者側がサーバーへの経路を閉じ、事実上閉鎖したとみられる。しかし、別の海賊版サイトがSNS上で話題になっており、結局はイタチごっこだ。

   こうした海賊版サイトを防ぐ手立てはあるのか。政府は先週、「漫画村」「AniTube」「 MioMio」の3つの海賊版サイトを閲覧できないようにするサイトブロッキングを容認する意向を示した。ただ、「通信の秘密の侵害に当たり、検閲につながる恐れもある」と反対する声も出ている。

NHKクローズアップ現代+(2017年4月18日放送「追跡! 脅威の"海賊版"漫画サイト」)