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東京医科大は逮捕者なし?「助成金・裏口入学汚職」捜査当局と司法取引か

   私立大学支援事業に選定する見返りに、自分の息子を東京医科大に入学させてもらったとして、文部科学省の技術・学術政策局長の佐野太容疑者(58)が4日(2018年7月)、東京地検特捜部に受託収賄の疑いで逮捕された。不正を取り持ったとして、会社役員の谷口浩司容疑者(47)も受託収賄幇助の疑いで逮捕された。

助成金支給の見返りに息子合格

   佐野は官房長だった昨年5月、東京医科大の関係者から「私立大学研究ブランディング事業」の対象校に選んでほしいと依頼を受けた。事業は大学の看板となる研究や取り組みを助成するもので、5年間にわたり年間2000~3000万円の助成金を受けることができる。東京医科大は昨年11月、応募した188大学から選定された60校の中に入っていた。

   その見返りに、息子の入試点数を加算してもらい合格となった。難関と言われる東京医科大の昨年春の受験者数は3535人、うち合格者は214人で、16倍以上の倍率という狭き門だった。2年生の学生は「私は1年浪人し、毎日7時間ほど勉強し入りました。不正に入学する人がいるというのは許しがたいですね」と怒る。

「贈賄」証言する代わりに免責

   大学側は「東京地検による捜査を受けていることは事実で、厳粛に受け止めています」とコメントを発表したが、不正の端緒となった大学側の逮捕者がいないのはどうしてなのか。

   東京地検特捜部の元副部長の若狭勝弁護士は「(今年6月から始まった)司法取引をしている可能性がある」という。贈賄を認めることで、免責される可能性がある。「今後、大学側が逮捕される可能性は低く、場合によっては不起訴もありえます」(若狭弁護士)