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日本女性狙ったSNS「国際ロマンス詐欺」300件!米軍将校騙って愛ささやきカネ無心

   中高年の女性をターゲットにした「国際ロマンス詐欺」の被害が広がっている。直接会わないままSNSを使って恋愛感情を抱かせ、金銭をだまし取る手口だ。荒唐無稽な嘘を被害者に信じ込ませるそのテクニックとは。

「自分はアメリカ陸軍の大尉。君の話し方はかわいい」で被害560万円

   560万円をだまし取られたという50代の女性は、「とくダネ!」に手口の詳細を語った。今年6月(2018年)SNSを通じて「アフガニスタンに駐留しているアメリカ陸軍の大尉」と称する男と知り合い、メールのやりとりが始まった。

   男は「5年前に妻を脳腫瘍で亡くした」「子どもは寄宿舎に預けられていて会えない」など同情を誘うような見の上を明かし、さらに「君の話し方はかわいい」などと甘い言葉をメールでささやくようになった。

   そのうち、「命令が出てシリアへ行く。君と息子のために必ず生きて帰ってくる」という連絡が入る。「信じているので、とにかく無事に帰ってきてとしか思わなくなるんです」と女性はその時の心情を振り返る。

   このころからメールの内容が変化し、金の無心が始まった。戦場にいる自分のことを心配している息子と連絡をとるため、「後で返すから息子にパソコンを買ってほしい」と言われて送金した。男からはその後もひっきりなしにメールが届いた。

   「思考が働かない状況に追い込まれていくような感じでしたね。どこかで自分でもおかしいとは感じていたのですが、人の生き死にに関わるような嘘をつく人がいるとは思わなかった」と女性は話した。消費者金融に借金するなどして計560万円を振り込んだが、不審に思って送金の要求を断ると、男はSNSを削除して連絡を絶ったという。

世間知らずでお金持ってると格好の餌食

   「国際ロマンス詐欺撲滅協会」の新川てるえ代表によると、日本人の被害者はこれまでに約300人にのぼり、被害額は多い人で1500万円にもなるという。日本人は戦争に疎いと思われているせいか、軍の関係者を名乗る手口が特に多い。

   「日本人女性は優しいうえ、比較的お金を持っているため、狙われていると感じます。また、英語で甘い言葉を言われ、慣れていないため、ひっかかりやすいという面もあります」と新川代表という。

   山田秀雄弁護士はこう話す。「国際ロマンス詐欺というと言葉はきれいですけど、被害額も大きいし、中身は手が込んでいて、女性の弱みに付け込む相当悪質な犯罪です」