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「孤独死」年間2万7000人!半分近くが現役世代――財前直見(俳優)も「一人ぼっちで死なない準備」

   「人生100年時代」といわれるが、40~50代の現役バリバリの世代が、「一人暮らし」「熟年離婚」「子ともには面倒を見てもらえない」と、孤独死の不安を募らせている。だれにも看取られず、死後何日もたって発見される孤独死は、ニッセイ基礎研究所の調査によると、年間2万7000人にのぼる。年齢を見ると、54歳以下の現役世代が全体の4割だ。

   俳優の財前直見(52)は夫と別れ、70歳を超えた両親と12歳になる息子の4人暮らしだが、将来、一人で死を迎えるかもしれないからと、2年前からそのための備えを始めた。きっかけとなったのは、「元旦那さんの母親が亡くなられたときに、何が大事で、何を捨てていいか区別がつかなかった」ことだった。そこで、自分が死んだあと、家族が困らないようにとノートを作った。

   両親や自分、息子の年齢に沿って個々に掛かる費用や収入を想定した。両親の介護費用や生命保険料などの出費と年金、息子が成人するまでに掛るだろう入学金や学費などだ。自分が死去した後、残された家族が困らないように、必要な情報も記入してある。

   普段から地域の高齢者とつながりを深めておこうと、終活プランナーの資格も取得している。

家族だけでない、他人とのつながりを作る

   孤独死に陥らないようにと、家族とは別のつながりを外に作っている人もいる。京都でフットケアの店を経営している独身の澤野ともえさん(43)は、西日本各地に住む人たちと緩やかな関係性を保った「ゆるい家族」というネットワークを発足させた。「だれとも接しないと、『助けて』というときに、だれにも届かないですから」という。

   スタートして4年、メンバーは15人で、日頃から「大丈夫?」とみんなで安否確認を行っている。将来はお互いに近所に住むことを考えているという。

   家の中で生活を完結させないようにしている女性もいる。朝日新聞の元記者の稲垣えみ子さん(53)は、「ガスを止めることで銭湯に行くようにし、本の購入をやめてブックカフェに行くようにしている」と話す。「出歩くことで人とのつながりが生まれるようにするため」だ。

スイスでは孤独死よりみんなに見守られながら安楽死

   孤独死への不安からある決断をした女性もいる。横浜在住の映画監督、関口祐加さん(61)は離婚し、専門学校に通う息子とは離ればなれで、認知症の母親との二人暮らしだ。「9年間介護を続けてきた母親が亡くなったら、自分一人なり、孤独の中で死んでいくのではないか。自分の最期は自分で決めたい」と考え、スイスの末期がんなどの患者を収容する安楽死施設を訪れた。

   そこで家族に見守られながら死を迎えられることを知り、安楽死を手助けするスイスの団体に登録した。ただ、実際に「安楽死を選ぶかどうかはまだ決めていませんが、孤独に死ぬという不安は和らぎました」と話す。

   武田真一キャスター「孤独死をどう乗り越えたらいいんでしょうかね」

   財前「自分は孤独なんだという思い込みをしているのかもしれません。人を頼ることも必要なのではないかと思います」

   死への恐怖と孤独死への不安をじっくり考えさせた番組だった。

   *NHKクローズアップ現代+(2018年11月14日放送「"孤独死サバイバル"50代から備える」)