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熱狂「クイーン」再燃!映画「ボヘミアン・ラプソディ」のフレディに若者もオヤジも涙

   1970年代から80年代にかけて、世界中で絶大な人気を誇ったイギリスのロックバンド「クイーン」を描いた映画「ボヘミアン・ラプソディ」に、若い人から中高年までが足を運んでいる。東京・五反田のバーでは、中高年が「3、4回観た」「11回かな、12回かな」と盛り上がっている。

   配給会社は「ここまでの広がりは予想外、異次元です」という。封切りの週から次第に観客は減っていくものだが、4週連続で右肩上がりで、公開1か月で240万人を動員した。

   ボーカルのフレディ・マーキュリーの生きかたが共感されているのだという。フレディは1991年にエイズで死去したが、パワフルな歌声や華麗なステージにファンは魅了された。映画では、新曲にプロデューサーが「誰も聴かんぞ」と反対するシーンがある。これがのちに大ヒットとなった「ボヘミアン・ラプソディ」で、さらに解散の危機を乗り越えて85年、「ライブ・エイド」という歴史に残るステージを生んだ。

性同一性障害の女性が勇気付けられた「どのみち風は吹くんだ」

   名古屋の結婚式場運営会社の社長、河合達明さん(52)は、クイーン世代のど真ん中だ。若い社員に声をかけて、社長のポケットマネーで映画を見にいかせた。若手社員は「その場にいるように錯覚して、興奮した」「涙しながら見ていた。信念を通して生き方に惹かれた」「毎朝、出勤の時に聴いてます」とすっかりハマったという。

   SNSをマーケティングしている佐藤弘和さんが、1か月間のネットの書き込みを分析したところ、ある特徴を見つけた。「歌や曲、音楽そのものに惹かれる」という書き込みは年齢が上がるほど多いが、「感情を表すつぶやき」は若いほど多かった。「涙」「鳥肌」「死ぬ前に見たかった」「生き様に痺れる」などだ。佐藤さんは「稀なパターン」という。

   佐久間梢さん(37)は3年前、性同一性障害と診断された。佐久間さんは映画から、「臆することはない」とのメッセージを受け取った。家族、友人に告白し、化粧も始めた。「どのみち風は吹くんだ、はその通りだと思います」

デーモン閣下「我輩が地球デビュー2か月前にライブ・エイド」

   ゲストの高橋みなみ(歌手)は「興奮冷めやらぬ感じ。曲は知っていたけど、このタイミングで曲ができたんだと。フレディの生き様が背中を押してくれる。クイーンは偉大です」という。

   デーモン閣下(歌手)は「映画に出てくる『ライブ・エイド』が、我輩が地球デビューする2か月前だった。まるで本物を見ているような感覚になった。フレディが亡くなった時、『聖飢魔II』はケンジントンのホテルにいた。新聞はフレディ一色だったな。その年12月、ニューヨークでのミサで、フレディ追悼の『ボヘミアン――』を演奏し、感動してもらえた」

   武田真一キャスターがフレディが残した言葉を読んだ。「アリーナの最後列の人たち、入場できなかった人たち、シャイな人たちのために歌ってつながっている。批評家やいじめっ子たちを飛び越えられることを見せるんだ。俺にそれができれば、誰にだってやりたいことができるはず」

   NHKは17日の午前0時40分から、「総合」でドキュメンタリー「SONGS『クイーン』」を放送する。

   *NHKクローズアップ現代+(2018年1月6日放送「クイーンは世代を超える!そのワケは?」)