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天皇陛下が次の時代に持っていく4つの記憶―巷は「平成カウントダウン」と浮かれてていいのか

   「ビビット」は2週連続で「平成と天皇」を特集してきたが、最終日はニュース解説の池上彰が登場した。取り上げたのは「陛下の平和への思い」だ。

 

   昨年末(2018年)の誕生日の会見で、天皇は「平成が戦争のない時代として終わろうとしていることに心から安堵しています」と述べた。「先の大戦で多くの人命が失われ、戦後の平和と繁栄がこうした犠牲と努力によって築かれたものであることを忘れず、戦後生まれの人々にも、このことを正しく伝えていくことが大切であると思ってきました」という。

 

   戦争と平和への言及は多い。昭和56年夏の会見では「どうしても記憶しなければならないことが4つある」として、広島と長崎の原爆、沖縄戦、硫黄島の全滅をあげた。平成23年(2011年)には「戦争の記憶が薄れようとしている今日、日本がたどった歴史を繰り返し学び、平和に思いを致すことは極めて重要と思います」。平成27年(2015年)には、「年々、戦争を知らない世代が増加していきますが、先の戦争のことを十分に知り、考えを深めていくことが、日本の将来にとって極めて大切なことと思います」と語った。

 

   司会の国分太一「私には、平和は当たり前だけど、陛下は心から安堵しているということなんですね」

 

   池上「陛下のお言葉は、まずご自分で案を書かれているんですね。宮内庁がこれを整えて最終案としています」

「象徴天皇」のあり方と役割を模索

 

   原点は戦時中の体験だった。昭和19年に日光に疎開した皇太子時代の映像がある。草むらで弁当を食べる姿、道路を学友たちと歩く姿の後に、東京へ戻ったとき「何もなかった」と記されている。

 

   疎開先の皇太子へ昭和天皇、皇后が出した手紙もあった。昭和20年9月9日の日付で、こう書かれている。「(戦争の)敗因について一言いわしてくれ。我が国人があまりに皇国を信じすぎて、英米を侮ったことである。わが軍人は精神に重きを置きすぎて科学を忘れたことである」

 

   戦地の慰霊の旅、被災地へも足を運んだ。池上は、これが戦後という時代の象徴天皇としての基本姿勢だったという。「象徴というのは、目に見えない、ピンとこないものですが、お2人はこれをずっと考えてこられた」

 

   毎日新聞の世論調査では、「象徴としての役割」について、「十分に果たされている67%、「ある程度果たされている」19%で、合わせて87%が「果たされている」と答えていた。

 

   ところで、東京都内のある百貨店の入り口に「令和まであと××日」とカウントダウンが出ているのだが、平成の両陛下の退位までを数えているようで、いい感じではない。