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名前も告げず助けてくれたあの人にお礼言いたい・・・財布落とした高校生に飛行機代

   財布をなくして途方にくれていた高校生に、連絡先も聞かずに6万円を貸してくれた男性がいた。恩人を探していた高校生がきのう21日(2019年5月)、那覇市でこの男性と再会を果たした。

   沖縄工業高校2年の崎元颯馬君は先月24日(2019年4月)、与那国島の伯父の葬儀に参列するため那覇空港に向かっていたところ、モノレールの車内で航空券代6万円が入った財布をなくしたことに気付いた。居合わせた埼玉県の医師、猪野屋博さんが「どうしたんだ?」と声をかけ、崎元君が経緯を説明すると、猪野屋さんは名前や連絡先も告げずに6万円を手渡し、急いで空港へ向かわせた。

   崎元君は無事葬儀に参列することができた。

地元紙の記事きっかけに埼玉の医師と連絡

   お礼を言いたい崎元君は学校に相談し、地元紙を通じて「飛行機代を貸してくれた恩人を捜しています」と呼びかけた。この記事をインターネットで見た同僚から、猪野屋さんに連絡がいった。それまで、猪野屋さんは「だまされたんだと」周囲の人からいわれていたという。「みんなに『よくあげたなあ』と笑われました」と話す。

   1カ月ぶりの対面に、猪野屋さんが「久しぶりだね」と声をかけると、崎元君は「あのときはありがとうございました。無事、葬式に間に合いました」と両手で握手した。6万円を返却し、学校の授業で作った文鎮をプレゼントした。「少しでも思いが伝わればなと思って彫りました」と、猪野屋さんの名前と「感謝」の文字を刻んだ。

   猪野屋さんからは紺色の財布のプレゼントがあり、「もうなくすまい、と思いました」と崎元君は苦笑いした。「(あの時)猪野屋さんに声をかけていただいただけで落ち着けました。自分も困っている人の話を聞ける人間になりたい」という。

高校生もお医者さんもステキ!

   医師である猪野屋さんは、これまでも飛行機の機内で病人が出たりしたときに、20回以上も手助けしており、乗り物の中で調子の悪そうな人を気にするのが習慣になっているのだという。「令和の時代は彼(崎元君)のような人間が象徴になってもらいたい。人をだますのではなく恩に報いる、人を大事にする時代がくると感じました」と話している。

   近藤春菜キャスター「猪野屋さんは返ってこなくていいという気持ちであげた6万円だったんでしょうけど、こうやって再会できて、ほっこりするいい話です」

   崎元君がなくした財布も、手付かずのまま駅に届いていたという。