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うまくいく夫婦の会話―言ってはいけないこの「ふた言」と必ずやりたい5つの動作

   「クローズアップ現代+」と「しゅふJOB総研」の合同調査によると、夫婦の会話に不満があるという人は4割以上で、会話満足度は結婚10~20年目で低くなることがわかった。そこで、6組の夫婦に東北大学が関わるベンチャー企業が開発した脳センサーを装着し、「きのう何をしていたか」「相談したいこと」「雑談」「愚痴」「直してほしいこと」を話題に会話してもらい測定した。

   結婚11年目で3人の子育て中の木村さん夫婦は互いに忙しく、平日の夫婦の会話は1日10分程度だという。2人の話題別の共感度を測定すると、「直してほしいこと」について話したときの共感度は、「愚痴」について話したときの1.7倍だった。

   結婚13年目で2人暮らしの伊藤さん夫婦も、「きのう何をしていたか」よりも「直してほしいこと」について話したときのほうが共感度は高かった。共感度の高かった話題をランキングにすると、「直してほしいこと」「雑談」「きのう何をしていたか」「愚痴」「相談したいこと」の順だった。

   家族心理学を研究する明治学院大学の野末武義教授は、「直してほしいこと」が高い共感度を示したことについて、「話をしてわかってもらえた感覚を持てるかが大切です。心の結びつきが強まります」と解説した。

言いたいことを我慢していると二人とも早死に確率2倍

   アメリカのミシガン大学で「夫婦喧嘩と死亡リスク」の関係について、17年間調査した研究がある。「夫婦ともに怒る」「夫だけ怒る」「妻だけ怒る」「どちらも我慢する」の4通りの中で、「どちらも怒らず我慢する」と答えた夫婦は早く死亡する割合が2倍高いことがわかった。

   番組が行ったアンケートでも、夫婦間でよく話すことと話したいことの間には、ギャップがあった。「食べ物」についてはよく話すが、話したいことではなく、将来についてはあまり話さないが、実は話したいと考えていることが浮き彫りになった。

   これについて、野末教授は「夫婦の間に溝を感じるリスクがあるため、大事なことだからかえって話さないといということがあるのでしょう」と話した。

   アメリカ・ペンシルバニア大学のルーバン・ガー教授(脳科学)は、1万人の男女の脳の働きについて研究し、女性と男性では脳内の情報伝達の仕組みに違いがあると分析している。ガー教授によると、男性は論理をつかさどる左脳を使い、女性は視覚をつかさどる右脳と左脳を連結させて考えるという。この思考回路の違いが、夫婦間で満足する会話の違いになって現れる。

スピーチの達人だったスティーブ・ジョブズも妻には嫌われる話し方

   スピーチの達人といわれたスティーブ・ジョブズ氏のスピーチを解析すると、「主張の理由」について述べている割合が圧倒的に多かった。この「主張の理由」を強調するように営業マンに指導して、成績を20%上げた会社もあるという。

   だが、このジョブズ型の会話は妻に嫌われる傾向がある。日本語学者で杏林大学の金田一秀穂・特任教授は「ビジネスは損得で動きますが、夫婦はそうじゃありません」と話し、野末教授は「主張の理由は一方通行の話になることが多い。相手の話を聞かなかったり、相手の感情を気にしない傾向があります」と解説した。

   では、夫婦の会話をスムーズにする方法はあるか。杏林大学の八木橋宏勇准教授(言語学)は、「言葉以外の要素が大切」として、相槌など語尾の重なり、雑談、アイコンタクト、体の動きや姿勢の5つを挙げ、相手の伝えたいことに共感を示すことが大事という。

   野末教授は夫婦間の「NGワード」として「なんで?」と「いつもそう」を挙げた。「"なんで?"は相手を責めたいとき、"いつもそう"は言い訳したくなる言葉だからです。自分だけ抑えたりせず、自分の言いたいことも、相手の言いたいことも大切にすることを目指したいですね」

   *NHKクローズアップ現代+(2019年6月25日放送「夫婦の会話」を科学する~不満解消の秘訣は!?~」)