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大学生のマルチ商法被害が拡大!「儲かる投資情報」と偽り50万円でUSB売り付け

   博多大吉キャスター「最近、学生さんが被害にあうマルチ商法が急増しているそうですよ」

   50万円以上も借金をして、投資に役立つ情報が入っているというUSBを買ったが、儲けることはできず返済に困る学生が増えているという。

   2018年度のマルチ商法の年代別相談件数は、20代が最多で4000件以上にのぼっている。東京都消費生活総合センターの相談員は「毎日といっていいくらい相談が来ます。全然儲からなかったとか、大きな損をしたという話が多いです。なかには奨学金を全部つぎ込んでしまったという方もいます」と話す。

学生ローン借りて購入!大損して返済できない

   なぜ借金を背負ってまで契約してしまうのか。大学4年生の斎藤さん(仮名)が体験を語った。きっかけは高校時代の友人の「投資で月に30万円ほど儲けているから一緒にやらないか」という連絡だった。「投資で成功する秘訣を教えてくれるすごい人に会わせる」と言われ、スーツで来るよう指定された。

   夕方5時に待ち合わせし、「すごい人」に会えたのは夜の9時。高級ホテルのラウンジで「AIが搭載されている」というUSBを見せられ、「これを使えば8割の確率で儲けられる」と言われた。値段は50万円以上。最初は断ったが、「もう一人すごい人が近くにいるから会いに行こう」と言われ、流されるままに付いて行った。

   別の飲食店で「もう一人のすごい人」に会ったのが夜中近い11時。USBがいかに優れているかを巧みな話術で訴えてきた。和やかな雰囲気もあり、時間を忘れ、「すごい人」の自宅にまで行く羽目に。話は相手のペースで進み、気付けば、お金の借り方を細かく指示され、USBを買う流れになっていた。

   斎藤さんは「お金を借りる時は『留学する』って言った方がいいとか、学生ローンの借り方を徹底的に練習させられました。怪しまれちゃうから、借り方を暗記して、みたいな感じ」と話す。

   話は午前4時まで続き、翌日、友人と一緒に学生ローンへ。指示通りに審査に答え、借金してUSBを購入してしまった。

親切そうに友人が付き添い・・・実はグルだった

   ゲストの片瀬那奈(女優)「マルチ商法被害って、年齢層が高いイメージだったんですけど、学生で50万円って相当大きいですよね」

   ゲストのやしろ優(お笑いタレント)「あれだけ拘束されたら、早く終わりたい気持ちもあって、『言うこと聞いてればいいかな』って気持ちになっちゃうのかもしれないですね」

   被害が広がっている理由を弁護士の村千鶴子さんが解説した。「スマホの普及で、若い人のコミュニケーションがSNS中心になって、範囲が広がって濃密になっています。2つ目は、投資に興味がある若い人が多いんです。投資をネタにした今回のマルチ商法は、すごく上手くいっています」

   勧誘の手口は、まず「すごい人に会わせるからスーツで来て」と誘うことで、普段とは違う服装で緊張し、精神的に追い込まれてしまう。次に、一流ホテルのラウンジなどに誘い、高級ブランド品を見せつける。投資をすればこれだけ儲かると思い込ませる効果がある。

   そして、最初から最後まで友人や知人が付きそう。「今の若い人は友達を捨てて帰れないんです。友達がずっといると、悪いからと付き合っちゃう。それで最後まで引きずり込まれます」(村さん)

   買ってしまってもクーリングオフできるが、期限が過ぎても返金交渉の可能性がある。「勧誘の時点で嘘をつかれた、断り続けているのに粘られて根負けして契約してしまったなどの事情があれば、取り消してお金を取り戻すことができます。一人で何とかしようと思わず、親なり公共の相談機関なりにきちんと相談するのが大事です」(村さん)

   マルチ商法に巻き込まれたという人は、消費生活センターの消費者ホットライン「188」に電話を。