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スゴいよ、素敵だよ、島の女子中学生!溺れてる女の子を救助――周囲に冷静に連携指示して自分は海に飛び込み

   8月31日(2019年)、福岡県宗像市の大島で、海に転落した7歳の女の子を助けた3人の女子中学生のお手柄の話――。大島は九州本土から約7キロ沖にある人口およそ700人の島で、中学2年生の藤島海琴(みこと)さん、1年生の草野寧彩(ねいろ)さんと本田悠(はるか)さんは、島の小中一貫校「大島学園」でバレーボール部に所属する先輩後輩だ。

   普段は、バレー部の練習は本土にある市内の中学校で行うが、この日は1年ぶりに島で合同練習が開かれた。午後4時半ころ、練習を終えて仲間のフェリーを見送った後、3人は波止場でおしゃべりをしていた。帰ろうとしたちょうどその時、「人が海に落ちた」と、釣りをしていた男性が助けを求める声がした。駆け寄ると、慌てふためく父親と男の子と、海に落ちた女の子が目に入った。

ペットボトルを浮き輪にして抱えたまま泳いで50メートル

   「お父さんはパニックになっていたので、海に入ると危ないと思った」という藤島さんは、「私が行きますから、お父さんは上で引き上げを手伝ってください」と言うと、後輩2人に役割分担をした。

   草野さんには、自転車の籠から部活で使った2リットルのペットボトルを持ってくるように指示。本田さんには小さい男の子が海に落ちないように見守り、父子に付き添うように言った。

   藤島さんは「自分が飛び込むけん、ターミナルに行って人を呼んできて」と草野さんに頼むと、空にしたペットボトルを持ち、波止場からおよそ2メートル下の海に飛び込んだ。藤島さんは溺れている女の子に浮輪代わりにした空のペットボトルを持たせ、抱えたまま波止場の先端をぐるっと回り、階段のある場所まで約50メートル泳いだ。

   「500ミリのペットボトルでも持っていれば浮く。普通だったら力を抜けば浮くけど、パニックになっているから力が入って沈んでしまうので、『これ抱っこしとったら大丈夫やけん。ちゃんと持っとったらお父さんのところ帰れるけんね』と言って渡した」と藤島さん。女の子の父親が上からを引き上げた。

漁師の父親から「海の危険や救助方法について教えてもらっていた」

   藤島さんは漁師の父親から、幼いころから海の危険や救助方法について教えてもらっていたという。父の誠治さん(44)は「子どもたちがある程度の年になったときに、ちょっと話したことはある。まさかここまでできるとは。誇りに思います」と話した。

   助けられた7歳の女の子は、旅行で初めて大島を訪れていた。その後、女の子から藤島さんらに手紙が届いた。「たすけてくれたときいっしょにうみでおよいでくれてすごくたのしかったです」という言葉に驚いたという3人だが、それだけホッとしたということだと理解した。女の子は「お姉ちゃんのように泳いで人を助けられるようになりたい」と水泳を習い始めたそうだ。

   近藤春菜キャスター「言葉も無駄がなくて分かりやすくて。頭の良さと冷静さがインタビューで伝わってきますよね」

   松田丈志(元競泳選手)「僕でもパニックになると思う。溺れている人を抱えて泳ぐことは、すごく大変ですから。前段階が完璧にできていたから助けられたのだと思いますが、これはスポーツをやっている1つの良さ。(藤島さんは)副キャプテンということで、普段からチームメイトに指示を出しているんだと思う。だからこその連携プレーだと思います」