年間平均視聴率が平均8・2%と、NHK大河ドラマ史上最低の視聴率に終わった「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」だが、ドラマ批評のプロたちの目からは非常に高い評価を得ていることが分かった。
20日(2020年1月)、NPO法人・放送批評懇談会が選定するテレビドラマ部門の「2019年ギャラクシー賞推奨賞」を受賞したのだ。放送批評懇談会事務局の担当者の話によると、同懇談会は、日本の放送文化の質的な向上を目的に1963年に発足。評論家やライター、ドラマ制作者、マスコミ研究の大学生など放送文化に関心が深い正会員が優れたテレビ・ラジオ番組を顕彰してきた。
これまで57年の歴史の中で、年間を通して放送するNHK大河ドラマが「ギャラクシー賞推奨賞」を獲得するのは非常に珍しく、「いのち」(1986年)、「独眼竜正宗」(1987年)、「新選組!」(2004年)の3つだけだった。
「いだてん」の選考理由はこうだ。
「日本における『スポーツ』の概念の誕生から、オリンピックを通して日本の近代史を描いた。わかりやすい『英雄』も出てこない大河ドラマとしては異色の作品だが、明治から昭和まで政治や戦争に翻弄されながらスポーツが取り巻く状況が変化していく姿は、驚くほど現代の日本が抱える諸問題とリンクしており、見応えがあった」
放送批評懇談会事務局の担当者は、
「私たちは視聴率とはまったく関係なく、優れた番組を選んでいます。『いだてん』は素晴らしい作品だったということに尽きます」
と話している。(テレビウォッチ編集部)