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「東京オリ・パラ延期」振り出しに戻されたアスリートたち!代表内定も白紙? 調整やり直し、資金が続かない

   東京オリンピック・パラリンピックの開催1年延期で、選手たちはトレーニング計画を立て直さなければならなくなった。柔道男子100キロ超級の代表に内定している原沢久喜選手(27)は、「やっともぎとった代表権で、もう一度と言われたら気持ちが滑る」と話した。「練習計画、気持ちの作り方をもう1回考えないといけない」と不安を隠せない。全日本柔道連盟は今月(2020年4月)の理事会で、内定を見直すかどうかを決める予定だ。

   日本ボクシング連盟は昨年度(2019年度)、東京五輪を見据えた強化費として、積立金を取り崩すなどして例年より2000万円多い7400万円を用意した。しかし、今後1年間の海外遠征費などで数千万円の不足は確実という。選手に遠征費の自己負担を求める可能性も出ている。

   男子フライ級で代表に選ばれた田中亮明選手(26)は、岐阜県の高校教師で部活の監督を務めながら妻と共働き。「今後の遠征に参加できるか不安です。海外の大会に出場できずにオリンピックを迎えるとなると、この1年間を有効にできません」という。

まひや機能回復で「クラス」が変わってしまうパラ選手

   パラリンピックの選手は代表選考以外にもクリアしなければならない条件がある。競泳で初出場をめざす久保大樹選手(31)は手や足首のマヒのリハビリを続け、去年9月に標準記録を突破したが、障害の種類や程度を医師が検査する「クラス分け」を大会までに2回受けなければならない。1回はすでに受け、今年夏までに2回目を受ける予定だった。検査までの期間が空けば、障害の程度が変わる可能性がある。「自身が決めることではないので」と言う。

陸上競技、サッカー、バドミントン、バレーボールは選考の見通し立たず

   元オリンピック選手の為末大さんは「選手はマラソンの最後5キロで、もう1回走れと言われた気持ちでしょう。先が見えないゲームと思うしかない」と話す。マラソン、卓球、競泳、ボクシングのように内定を維持する競技もあれば、柔道やテコンドーは内定者はいるが扱いは未定。マラソン・競歩以外の陸上競技やサッカー、バドミントン、バレーボールなどは選考の見通しもまだたたない。

   何よりも、1年先、新型コロナウイルスの感染が収束しているのかどうか。東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授は「WHO(世界保健機関)は来年夏までには感染ピークを迎えるのではと推測していますが、感染ゼロは考えられない」と警告する。選手ばかりか、東京都も国も組織委員会も1年延期への対応に大きな不安を抱えている。

   ※NHKクローズアップ現代+(2020年4月2日放送「東京五輪・パラ延期 アスリートたちが訴える本音」)