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「木村花さんの無念が晴れるか!」テラスハウスがBPO審理へ ネットでは期待とあきらめの声「テレビの闇にメスを入れてほしい」「どうせ注意勧告で終わりだ」

   フジテレビのリアリティー番組「テラスハウス」に出演していたプロレスラー木村花さん(享年22)がSNSで誹謗中傷を受けた後に自ら命を絶った問題で、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会は16日(2020年9月)、ホームページ上で審理入りすると発表した。

   番組では、花さんが、自分の衣装を誤って破損した同居人男性の帽子をはたくシーンがあり、ネットで激しい非難を受ける原因となった。しかし、花さんの母・響子さん(43)によると、花さんが番組スタッフから「ビンタしたらいいジャン」というヤラセの指示を受けており、指示を裏付ける花さんのLINEメッセージも残っている。

  • 木村花さん(写真:平工幸雄/アフロ、撮影2016年11月3日)
    木村花さん(写真:平工幸雄/アフロ、撮影2016年11月3日)
  • 木村花さん(写真:平工幸雄/アフロ、撮影2016年11月3日)

カメラが回った時点で「リアリティー番組」はあり得ない

   響子さん(43)は7月15日、過剰な演出によって花さんが凶暴な女性のように描かれたことで誹謗中傷を受け、「人権侵害があった」と訴える申立書をBPOに提出していた。一方、フジテレビ側は7月31日、「制作側が出演者に対して、言動・感情表現、人間関係等について指示、強要したことは確認されなかった」と、ヤラセを否定する内部調査を発表している。

   今回のBPOの審議入りの決定に対して、ネット上では「遅すぎる」という怒りの声と、「きちんと調査して、テレビ局の闇にメスを入れてほしい」という期待の声が高まっている。

   「過度な演出はおそらくあったでしょうね。この手の番組は言い方悪いが、揉めることの方が人気はでやすい。ただ花さんのような犠牲になる方がいる以上やるべきでないでしょう。視聴率の数字より人命をとるべきでしょう」

   「この手の番組は海外の例でも視聴率が好調な代わりに、出演者の自殺やメンタルの問題が出やすいことは明らか。ネットの誹謗中傷から守るチームを作るとか、心理カウンセラーを1対1で付けるとか、何らかの対策をしないと放送を認めるべきではないと思う」

「ヤラセ」は昔からあったが、死んだ人はいなかった

   「今もSNS上で『木村花のせいでテラハが見られなくなった』という投稿を目にし、リアリティー番組が持つ影響力の強さを感じています。人の命をなんだと思っているんだ!そもそもリアリティショーってカメラが回っていたら、脚色ありきだと思わないのかね。でも、思わない人達がいるから命が失われた。だから、番組側は演出ありますと表示しなくちゃならんよ」

   「人の命をかけてまで作るべき価値はない。だいたい、普通に恋愛をしていても毎週番組時間を埋めるような山場が来る展開にはならない。結局山場を作らねばならずヤラセになる」

   この手の「ヤラセ」は昔からあったが、今は時代が悪いという指摘も。

   「俗悪番組なんか昔からあった。『川口浩探検隊』をリアリティー番組と思って楽しんでいる人もいた。TV番組にコンプライアンスなんて概念が入り込んだのが最近になってからです。一方、その俗悪に突っ走っていた時代を『昔はTVに力があった』『昔の方がムチャクチャで面白かった』と回顧する風潮もある。ただ言えるのは、川口にしろ、ドリフにしろ、お色気番組にしろ、俗悪が理由で死んだ人はいなかった。SNSの時代になり、明らかに情報を発信するTVというものを見直す頃合になっている。この事件を見ると本当にそう思う」

BPOは「リアリティー番組」の撮影現場を視察したら?

   BPOには期待と冷ややかな見方が交錯している。

   「テレビにロクに出たこともない素人出演者には、ノウハウも人脈も何もないし、番組制作側に強く反対意見を言えるとは思えない。立場が弱いよ。ギャラは安く済むし、出演者は意のままに動かせるし、制作側にはおいしいコンテンツなのだろう。誰が指示したとか言っていないとか、表面的なことだけではなく、お互いの力関係などと考慮した上でちゃんと踏み込んで判断してほしい」

   「BPOが素早く審理入りしてよかった。フジテレビの内部調査では花さんのお母様だけじゃなく、一般の私たちからみても納得出来ませんでした。番組でのスタッフの煽りや演出は本当になかったのか検証することが大切だと思います。これに限らずBPOはリアリティーと言われる番組の撮影現場を視察したらいい。BPOには公平かつ正当な審理を求めます」

   「一番大切なのは、花さんの名誉回復と再発防止。とは言ってもBPOの権限はテレビ局に対する勧告や見解意見の通知くらい。結局はテレビ局の自覚の問題に帰する。お母さんの想いと頑張りが伝わる事を願いたい」

そしてこんな意見もあるのは確かだ。

   「BPOは視聴者の味方ではない。テレビ局が、視聴者からの批判をかわすために作った業界団体です。もしもテレビに人権侵害されたと感じたら、BPOなどではなく裁判所に訴えるべき。BPOに訴えても、散々審議したあげく『注意勧告』が出て終わり。時間と労力の無駄です」(テレビウォッチ編集部)