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「非正規を見捨てた」「仕方ない」...バイトにボーナスを支給しないのは「不合理でない」最高裁判決に賛否両論 立川志らくは「ケースバイケースだ。難しい」

   13日(2020年10月)、最高裁がアルバイトにボーナスを支払わないのは「不合理とまではいえない」という判断を示した。原告は、大阪医科歯科大学で秘書として正社員と同じ仕事をフルタイムでしている女性で、ボーナスが正社員にしか支給されないのは待遇格差だと主張し、同一労働同一賃金の法律に反していると訴えていた。現状では労働者の約4割が非正規雇用。最高裁は「労働条件の相違は不合理とまでは評価できない」と説明している。

   大阪高裁(2審)では正社員のボーナスの6割は支払うべきとしていたが、最高裁は「正社員は危険物の取扱や人事異動の可能性がある」などと判断され判決が覆った。この判決を聞いた原告女性は「2100万人の非正規雇用のことをまったく見ていない」と訴えている。

厚労省調査ではバイトにボーナス支給は34%だが...

   厚生労働省のデータによると、正社員にボーナスを支給している事業所は84.6%、パートやアルバイトにボーナスを支給している事業所は33.7%。この違いはどこにあるのか?

   東京・練馬の「スーパーアキダイ」は、社員に対しては年2回のボーナスを支給するが、パートやアルバイトには支給していない。秋葉弘道社長は「パートさんが休みの時に社員がカバーしている。社員は主軸で、責任を担っている」と言い、クレーム対応や売上管理の仕事もあると説明。そのうえでパート・アルバイトを積極的に社員に登用している。

   東京・新橋の居酒屋「新橋いっぱし」は年3回、全従業員にボーナスを支給している。バイトへの支給額は最高で15万円になる。井上清次代表は「頑張った分は賞与にしている。社員とバイトでは責任の重さが違うが、ホールの業務では社員を凌駕する働きをするバイトもいる。仕事の評価ややりがいとして支給している」と話す。

   司会の立川志らく「アキダイもいっぱしも間違っていないと思う。ケースバイケースなのだと思う。難しい問題だが、払うお金と力があるなら支給すればよい。ただ、同一労働同一賃金だからと、ちょっとだけ仕事を変えて、同一じゃないとしてボーナスを支払わない悪い経営者が出てくるかもしれない」

   高橋知典弁護士「事案ごとに変わってくる問題だ。個人的には2審の高裁判決を維持してほしかった。この判決が今後の参考事例になるが、今日判決が出る別の裁判では変わるかもしれない」

   フリーアナウンサーの小林麻耶「コメントする原告女性の手が震えていた。思いが届かなかった気持ちを考えると悲しい」

   フリーライター・望月優大「区別することに合理性があるのか。シンプルに差別ではないのか。アルバイトを含む非正規は10人中4人で、人口減の中でも増え続けている」