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テレビ業界を支える略語の人たち――P、D、AD、FM、FAって?

   私は長くテレビ業界に身を置いていたので、アシスタントディレクター(略語AD)、ディレクター(同D)、プロデューサー(同P)の仕事を経験しました。

   「PとDとADは何が違うのか」、今回はこのことをみなさんにお伝えしたいと思います。

   テレビ番組には、いろいろな成立過程から、さまざまな役割を持つ人たちがいますが、ここでは一般的な分類で説明します。

PとDって何のこと?

   まず、PとはProducer(プロデューサー)の略語で、いろいろな役割がありますが、簡単にいうと、企画を立てて、予算を考え、スケジュールを組み、キャスティングをし、PRと、コンプライアンスを担当します。

   DはDirector(ディレクター)の略語で、Pとの決定的違いは、映像を撮って編集することです。Dにもいろいろあって、総合演出というのは、大きな番組を総合的に演出する役割で、映像を撮らないで、後からチェックします。企画も総合演出やDが作る場合もありますし、Pと総合演出とDが共同で作ることもあります。キャスティングも、総合演出やDの意見を聞いて、Pが行うこともあります。

   ADとは、Assistant Director(アシスタントディレクター)の略語で、Dの補助をする役割ですが、ドラマでは、ADの上の方の人は助監督とも呼ばれます。また、スタジオ等での本番のときには、インカム(インターコミュニケーション)――スタジオのサブコン(サブ・コントロールルーム)にいるDと有線でつながっているもの――をつけて、FM(Floor manager)"フロマネ"(フロアーディレクターのこと)とか、FA(Floor Assistant)"フロアシ"(フロアーアシスタント)という名称で、Dの意図するところをスタジオ等で実現します。

   私は、冒頭で申し上げたように、ADもDもPも経験していますが、人によってP向きの人とD向きの人がいます。

   いずれにしても、ADとDを経験することが大事だと思います。

渡辺弘(わたなべ ひろし)
渡辺 弘(わたなべ ひろし)
1952年生まれ。東京大経済学部卒業。1976年に日本テレビに入社し、制作局CP、ドラマ制作部長として番組づくりの現場で活躍。編成局長、制作局長、取締役報道局長、常務・専務を歴任した。「マジカル頭脳パワー!!」「THE夜もヒッパレ」「「スーパーJOCKEY」「24時間テレビ」などヒット番組をプロデュースした。 現在は「情報経営イノベーション専門職大学」客員教授。映像会社「2501」顧問。