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「二重行政ってなに?」そのものが分からぬ大阪都構想。公明層からは「バカにされた維新に擦り寄るのか」と反発があった

   きのう1日(2020年11月)、大阪市を廃止して4つの特別区を設置する大阪都構想を問う住民投票は、賛成67万5829票に対し反対69万2996票と僅差の否決となった。

   松井一郎大阪市長は「結果は2度目の敗北。すべて私の力不足」と語り、2023年4月の市長任期終了とともに政界を引退することを明らかにした。吉村洋文府知事は「僕らより反対派の方が熱量が強かった」とコメントした。

「もともと無理筋」「住民間に深まったミゾ」後遺症はどうする?

   維新の掲げる都構想の目的は二重行政の解消。その象徴として挙げられたのが大阪府のりんくうゲートタワービルと大阪市のWTCビルで、この2つのビルは建設にあたって高さを競い合った末に両者とも破綻した。しかし、反対派は「ビル破綻はバブル時代の行政の失敗で、二重行政は関係ない」と疑問を呈していた。

   都構想は、9月19・20日の情勢調査で賛成49.1%に対し反対35.3%となるなど賛成優位でスタートしていた。しかし、大阪市がなくなることや、住民サービス低下などの懸念が広まるにつれ次第に反対が増え、10月30・31日の調査で賛否が逆転した。

   吉富有治(ジャーナリスト)「二重行政の定義がよく分からない。市民は維新の主張のうさんくささにも気がついた。今回はコロナの影響もあって圧倒的に説明が少なく、都構想のいいことしか言わなかった。公明支持層の動向も誤算。公明の山口代表が大阪で賛成演説したが、支持層は『選挙のために信念を曲げるのか』『あれだけ馬鹿にされた維新に擦り寄るのか』と反発した」

   玉川徹(テレビ朝日コメンテーター)「もともと無理筋だった。廃止してよくなるのだったら、横浜も名古屋も廃止したほうがよくなる」

   吉富有治「賛否が真っ二つに分かれたことで、賛成派、反対派の精神的な分断を生んだ。溝をどうやって埋めていくか。家族の中で意見が割れて、口をきかなくなったところもある」

   玉川徹「賛否が拮抗しているものを住民投票にかけるべきでない。住民投票は、下からじわじわ湧き上がったものを集めて賛否を問うものがなじむ」

   山口真由「私はそうは思わない。禍根をのりこえる過程で新しいものができる。国政との連携ができなかったから伸びなかった。道州制みたいな全体像を示すべきだった」