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在日、ミックス、日本人...いじめや差別を受ける3人の女子高生描くナイキCM動画、「感動」「不快」と賛否!

   ナイキジャパンのCM動画は、在日コリアンの少女と字幕「ときどき考えるんだ」。から始まる。「わたしってナニモノ?」とサッカーボールを蹴るのは日本人の少女。黒人と日本人のミックスの女子学生は、トイレの鏡に「できることなんてあるの?」と問いかける。

   約2分間。公開から1週間で2700万回再生された。実在の3人の女子アスリートの証言をもとに制作された。「『感動した』と称賛の声が上がる一方で『不快だ』との反応もあります」と司会の国山ハセン。

「それが当たり前?」「でもそんなことないかも」と映像は明転

   画像は続く。「わたし期待外れなのかな」「普通じゃないのかな」「このままでいいのかな」。3人それぞれの自問自答。スマホの画面が映し出され、「連載コラム。現代の在日問題を考察する」。女子プロテニス選手の写真と「彼女はアメリカ人?日本人?」。自分の映像に続いて「これかわいいと思ってんの ウケる」意地悪投稿を見る日本人少女。「ぜんぶ無視できたらいいのに」。チマチョゴリで通学しながら「わたし浮いてる?」。「もっとなじんだ方がいいのかな」ミックスの女子学生が学校の廊下を歩く。「ここにいちゃダメなの?」「みんなに好かれなきゃ」「我慢しなきゃ」「気にしないフリしなきゃ」「今までずっとそうだった」「それが当たり前だと思ってた」と続く。

   「でも、そんなことないかもね」から、映像は明転する。「ないね」「ないでしょ」「ありえないって」3人が口をそろえる。「いつか誰もが」「ありのままに生きられる」「世界になるって?」「でもそんなの待ってられないよ」。最後は、サッカーのゴールシーン。3人の女子選手が抱き合う。「動かし続ける。自分を。未来を」「YOU CAN'T STOP SPORT.」

「『日本人が差別をしている』そう思われるのはむかつく」

   番組の水曜レギュラー・西村博之(2チャンネル開設者)は、動画に対する否定的な評価について、「日本人が差別をしている、ということをCMにすることで、日本人は差別をするような人だ、と思われるんじゃないか。おれは差別をしないのに、そう思われるのはむかつく。みたいなひとがいるんでしょう」。

   在日コリアンの女性は、「スポーツと人種、国籍は関係ないと、建前では言うけれど、差別を感じるところは多々あったので、私はすごく称賛の目で見た」。日本で生まれ育ち、朝鮮学校出身。学校に「朝鮮人の子供たち殺すぞ」のような内容の脅迫文が届いて、チマ・チョゴリで登校するのは危ないからやめよう、ということもあったという。50代の在日コリアンの男性は、動画の中でYAMAMOTOと背に書かれたユニフォームに「KIM」という文字を張り付けて歩くシーンを指摘、「かっこいいじゃないですか。コリアンとして堂々と生きていく瞬間ですよね。がんばれ、と応援したいと思います」。

小学生の頃はからかわれたが「この動画を見て勇気づけられた」

   ナイジェリア人の父と日本人の母をもつ大学生のワンバ英海里(えみり)さん(21)は、「両親からもらったものなので、からかわれたことがとても悔しかった」としながらも、「企業が日本のマイノリティの人々にスポットライトを当てたことがすばらしい。自分もこの動画を見て、勇気づけられた」という。英海里さんも小学生のころ、自分の「くるくるの髪の毛」をからかわれたり、「焦げパン」とか「暗闇の中だと見えない」などとからかわれた。「マイノリティーの人たちを知る機会が増えていくことが、差別のない社会につながると思っている」。

   メインコメンテーターの田村淳「差別はこの世からなくならないと思っている。だけど、こういう動画を見て差別があるんだ、いじめがあるんだと議論することが大事だ。議論のあとで、現実にある差別にどう対処するのか、までセットでやらなければ、と思っている」

文・栄