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米海兵隊の大規模調査でわかったコロナの恐怖! 感染した51人中46人が無症状者から PCR検査の見直し必要か

   新型コロナウイルスでの無症状についての調査が各地で行われている。兵庫県の神戸大学では、8月6日~10月1日(2020年)の間に、県南部の医療機関などで採血した1万377人に中和抗体があるか調査した結果を公表した。結果は、抗体保有者は16人で保有率は0.15%。これを県南部の人口約450万人に当てはめると、6000~7000人が感染している可能性があるという計算になるが、実際の累計感染者は2700人。検査を実施した同大学の森康子教授は「無症状なので検査に行かなかった人が多くいた可能性があり、無症状の人が感染を広げているのではないかと考えられる」と話している。

   日本感染症学会専門医の加藤哲朗氏は「抗体保有率と感染報告数の差が無症状の事例ではないかという事例だが、一定数の無症状感染者がいることがわかった。症状がないと対策がおろそかになりがちで、それが感染拡大の原因となっている可能性が高い」とコメント。

   また、米国海軍の調査は著名科学誌「ニューイングランドジャーナル・オブ・メディシン」誌に発表され、話題になった。この調査は、1848人の海兵隊員を2週間自宅に隔離した後、発熱などの症状がない者を閉鎖された大学のキャンパス内に再び2週間隔離。この間、寝るときや食事以外はマスクを着用させ、距離を確保して生活した。毎日検温し、期間中に3回のPCR検査を受けるという調査だ。

   キャンパス閉鎖2日目の初回PCR検査で16人の感染が判明。2回目の7日目には24人が感染、感染者はキャンパスの外に出していたのに、最終日の3回目にはさらに11人が感染していた。合計51人が感染し、そのうち46人が無症状での感染だった。この調査で判明したのは、多くの感染者は大学キャンパスに移ってから無症状者を介して感染した可能性が高いということ。ルームメイト間や小隊内など、複数の特定の場所に限定された感染伝播が証明された。

検査拡大が世界のコンセンサス

   医療ガバナンス研究所の上昌広理事長は「この結果は衝撃的。さすが米軍、このような規模の調査はなかなかできない。科学誌も大々的に報じた。若い人は無症状がほとんどだとわかった。日本における第3波の問題もこの研究でわかる部分がある。発症しない現役世代が、無症状なので感染させていることがわからない可能性が出てきた。対策のやり方を変えないとダメかもしれない。3人感染で1000万人の検査をした中国、流行地では全員に抗原検査をする米国のような方法は、世界的なコンセンサスになっている」と警告する。

   テレビ朝日コメンテーターの玉川徹は「無症状者は3割というのは全年齢のこと。若い人は7~8割が無症状なのかもしれない。ダイヤモンドプリンセス号では多くが無症状だったわけで、日本は世界一早く無症状者が感染を広めることがわかったはずなのに、検査を抑制してしまった」と指摘。

   日本感染症学会専門医の加藤哲朗氏は「無症状で誰でもがうつす可能性があるという認識を持つことを啓発するのに非常に重要な論文だ」とコメント。

   上理事長は「世界のコンセンサスと比べて、日本の対策はかなり特殊。見直す必要がある」と訴えた。