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三ツ星シェフらが緊急会見、売り上げに見合った補償求める 大手チェーンからも不満の声

   1月20日(2021年)に三ツ星シェフなど名高い料理人たちが緊急会見を行い、政府の補償は不公平、売り上げに見合った補償をと訴えた。「菊乃井」三代目主人の村田吉弘さんは「協力金を1日6万円もらっても雀の涙」、服部栄養専門学校の服部幸應理事長は「このままいけば、どんどん店を閉めないといけない現状に立たされる」と熱弁。時短協力金の1日6万円が営業している場合より儲かる店もある一方、やむなく通常営業を続ける大手チェーンもある。

   大手企業は中小企業よりも体力があるとして、現状では支援が手厚くなっていないことについて、羽鳥慎一キャスターは「大手も厳しい状態にあるようです」とコメント。新型コロナによる倒産件数の調査によると、去年2月から1月20日までで916件が倒産しているうち、飲食店は143件。「魚民」「白木屋」など大手居酒屋チェーンのモンテローザは、都内337店舗中61店舗が閉店予定で、その理由は午後8時までの時短営業では店舗運営が困難だから。同社では「2万人の雇用維持も難しい」と話す。

   スタジオゲストの一家ダイニングプロジェクト・武長太郎社長は「最初の緊急事態宣言から約1年近くになる。最初の2、3か月は耐えきれたが、長期化して大手の居酒屋で1000店以上が閉店している。ウチも何店かを閉店していく」と話す。

   東京都が支払う時短営業協力金はこれまで午後8時までに短縮した飲食店に対し、1日6万円、最大186万円だったが、大企業は対象外だった。小池百合子東京都知事は20日、これを大企業にも時短協力金を支給すると改めた。

   武長社長は「この決定は大変うれしいが、通常営業の覚悟で従業員のシフトや納入業者への発注を済ませている。これを申請期限の明日までに方針展開して調整するのは大変悩ましい。やっとシフトに入れると喜んでいたバイトの子たちにぬか喜びさせてしまうことにもなる。納入業者の連鎖倒産も起こりかねない」と心配する。

協力金の恩恵には格差

   日本経済新聞によると、協力金の恩恵には格差が大きく、時短営業に応じる飲食店の7割程度が都道府県の協力金で収支がプラスになると推計されることがわかったと報じた。一方で、協力金では店舗のコストをまかないきれない大手からは不満も出ているという。野党は従業員数や店舗面積など事業規模に応じた「補償」を要求しているが、財務省幹部は「本来は規模別で金額を決めるべきだが、制度が複雑になると支給が遅くなる」と語っている。

   大手外食チェーンなどが加盟する日本フードサービス協会の石井滋常務理事は「大企業チェーン店と言っても1店1店みれば中小と変わらない。家賃や人件費、光熱費など必要経費は同じ」という。

   女優の高木美保は「それぞれの業態が一番求めているのは前年比に応じての支給。補助ではなく給付です。明細を細かく記入して納税しているわけなのだからわかるはず。スピード感ときめ細かさがもう少し工夫できるのではないか」と指摘。

   テレビ朝日コメンテーターの玉川徹は「スピード感を出すなら一律しかない。不公平感は税金で調節できる。貸し付けもどんどん行い、返済時に減免するなり、あとから対処することができる」とコメントした。