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菅義偉首相という"国難" コロナ禍の生活苦に「最終的には生活保護」と暴言! 調整苦手な河野・ワクチン担当相では何かが起こりそう

   国会の論戦を聞いていて、われわれはコロナ禍と闘っているだけではなく、菅義偉という"国難"とも闘わなくてはいけないということがよく分かった。

   立憲民主党の蓮舫議員が、自宅療養中に亡くなったコロナ患者が昨年12月以降、27人に上ったと質問したが、菅首相は「大変申し訳ない思いだ」とだけ答弁した。

   菅首相の心のこもらない薄っぺらな答弁に蓮舫は、「そんな答弁だから、(国民に首相の)言葉が伝わらない」というと、菅首相は「少々失礼じゃないでしょうか」と色をなして反論した。

   同党の石橋通宏議員が、コロナ禍の下で収入を失い路頭に迷い、命を落とす人が増えているが、これでも自助を求めるのかと問うと、菅首相は、「最終的には生活保護という仕組みがある」と、驚くべき答弁をしたのである。

   蓮舫は、「生活保護に陥らせないのが首相の仕事ではないか」と批判したが、当然である。さらに付け加えれば、菅という人間は生活保護の申請条件がどのようなものなのか、申請に行っても、窓口で無慈悲に追い返されるケースが多いことなど、頭の片隅にもないのだろう。

   夜のニュースやワイドショーをいくつか見たが、この発言を真っ向から批判したところはなかったように思う。だが、これは池田隼人元首相が蔵相時代、コメの値段が高騰していることに対して庶民の怒りが高まっている最中に、「貧乏人は麦を食え」と暴言を吐いたが、それに匹敵するものである。

与党幹部2人が銀座で夜遊び

   上がこの程度だから、その下っ端たちが更に始末が悪いことは、自明の理である。

   永田町の「マツジュン」こと自民党の松本純元国家公安委員長(70)が、通常国会が召集された1月18日夕方から、中央区内にあるイタリア料理店、銀座2軒をはしごして、11時過ぎまで飲み歩いていたと、新潮が証拠写真と記事を掲載している。

   このイタリアンはマフィアのラッキールチアーノの末裔がやっているという「ウ・パドリーノ」だろう。松本議員の親分で「ギャングスタイル」が大好きな麻生太郎副総理もよく顔を出すそうだ。

   マツジュン、ここへ女性2人(新潮の描写だと、どうやら銀座のママとホステスのようだが)と入り、3時間近く食事をしたようだ。

   女性2人が先に出て、松本議員はタクシーで銀座へ。1軒目は滞在時間30分ぐらい。次に入った店では2時間も滞在したそうである。タクシーを拾って議員宿舎に向かったのは11時20分頃だった。

   新潮に直撃された松本議員は、イタリア料理店へ行ったことは認めたが、銀座へ行ったことは認めない。だが、当夜の写真を見せると観念したのだろう、1軒目の銀座の店では、これからどうするかを相談されたが、酒はまったく飲んでいないと話す。

   2軒目は、どういう状況かと見に行ったので、酒は1、2杯飲んだが、「これは、お茶代わりで出てきたようなもので......」と苦し過ぎるいい訳。

   新潮とは別だが、公明党の遠山清彦元財務副大臣も1月22日に銀座のクラブで夜遊びしていたことが発覚して、謝罪に追い込まれた。

   五輪開催がほぼ不可能になって焦っている菅首相は、コロナ特措法と感染症法の改正案を成立させようとしているが、その中身は「政治の怠慢や判断の甘さを棚に上げ、国民に責任を転嫁し、ムチで従わせようとしている」(朝日新聞1月16日社説)ものである。

   28日、感染症法の改正案について自民党は、政府案に盛り込んでいた刑事罰の規定をすべて削除する方針を固めたようだが、まだ安心はできない。

   特措法に盛り込むべきは、コロナ感染が収まらない中で会食した国会議員の名前を公表し議員歳費を召し上げる、それでもいうことを聞かない者は議員辞職を求めるようなものではないのか。

   国民にこれ以上の自粛を求めるのなら、国会議員自らが率先して範を垂れるべきであるこというまでもない。そうでなくては、国民の不満はますます高まるばかりである。

   菅首相、9人高級フグ会食が発覚した石破茂、今回の議員たちなど、永田町村の惨状を見ると、秦野章元法務大臣がいった「政治家に徳目を求めるのは、八百屋で魚をくれというのに等しい」という言葉を思い出す。

大相撲初場所中に時津風親方が麻雀、風俗通い

   永田町村と甲乙つけがたいのが大相撲村である。コロナ感染が広がり、65人が休場して厳戒態勢で開催された初場所中、連日のように雀荘や岡場所通いを続けていた親方がいたというのである。

   文春によれば、この御仁、名門・時津風親方(元時津海・47)だというのだ。時津風といえば、部屋の大関・正代は、平幕の大栄翔と最後まで優勝争いを繰り広げ、2横綱が休場、貴景勝も途中休場という中、何とか盛り上げてくれた功労者である。

   相撲協会は40ページ近い独自のガイドラインを策定して、当然ながら、不要不急の外出は親方を含めて全員に認めていない。

   だが親方は、取り組みが終わった1時間後には、連日のように赤坂にある雀荘に向かい、出てくるのは午後11時を回っていたという。

   それだけではない。場所中、午前10時過ぎに新橋の飲み屋街のなかにある「ホテヘルというタイプの風俗店」で、性的サービスを2回も受けていたそうだ。

   この時津風親方、2007年に部屋で起きた「集団リンチ死事件」で、当時の親方が解雇処分になり、若くして棚ぼたで親方になった人間なのだ。

   酒もタバコもやらないが、無類のギャンブル好き。2010年の野球賭博事件では、手を染めていたことが分かり、二階級降格処分になっているのである。

   懲りない親方は、千秋楽の翌日も、女性と錦糸町のホテルに入っていくところを文春に目撃されている。

   姉さん女房もいて二男一女の父親である。もっとも仮面夫婦として知られているそうだが。

   相撲関係者は、「本場所中の麻雀、風俗通いが事実なら、相撲協会には間違いなく残れない」と話す。文春は「相撲協会のガバナンスの在り方が改めて問われる」と書いているが、同じことが永田町村にもいえるはずである。

すぐ「フェイクだ」と反応する河野ワクチン担当相

   ところで、河野太郎がワクチン担当相になったが、期待半分、不安半分というところか。

   気の短さではイラ菅を上回るかもしれない河野では、どこかで決定的な衝突が起こるはずである。その証拠に、NHKが報じたワクチン接種のスケジュールに早速、河野が噛みついた。

   『ニュースウオッチ9』が、厚生労働省が3月中旬をめどに医療従事者などおよそ300万人に、3月下旬をめどに65歳以上の高齢者およそ3600万人に接種できる体制を確保して、順次、接種を進めることにしていると報じた。

   だが、河野がツイッターで、「うあー、NHK、勝手にワクチン接種のスケジュールを作らないでくれ。デタラメだぞ」。しかし、これは厚労省がサイトに載せているスケジュールなのである。

   さらに、坂井学官房副長官が「6月までに国民に必要な数量は見込んでいる」と発言すると、会見で「坂井氏の発言は全部削除して」と否定したのである。

   文春によると、ワクチン接種には多くの省庁が関わっているから、首相肝いりで、和泉洋人補佐官を中心としたタスクフォースが設置されていたが、担当相になってすぐに河野は、「情報はまず俺のところに上げろ」といったそうである.

   今や、ポスト菅の最有力候補になった河野だが、文春によれば、言行不一致が多く、「自分の考えと違う報道にはすぐさまツイッターで『フェイクだ』と反応する悪癖は、たびたび問題を引き起こしてきた」(文春)。まさにミニトランプのごとしだが、安倍や麻生には一切逆らわないで、弱い者には強く出るところがあると、ベテラン政治記者が嘆息しながら語っている。

   河野一郎、河野洋平と、総理まであと一歩としながら涙を飲んだ河野家の期待の星である。

   だが仄聞するところ、父親の洋平とは会えば必ずいい争いになるという。保守リベラルの親から見ると、息子の言動には不満な点が多くあるということではないか。

   省庁間の調整などは一番苦手な河野担当相が、どこで怒鳴り散らすか、省庁側が呆れて動かないか、何かが起こりそうである。

   河野は27日、高齢者へのワクチン接種を開始できる時期について「早くても4月1日以降になる。(終了は)6月第3週になる」と発表した。

   事実上、7月開催予定の東京オリンピックは無理になる。菅政権を吹っ飛ばすのは、菅が最後の頼みと縋ったこの男かもしれない。

国際基準に合わない日本の鶏の飼育方法

   現代が、吉川農相の収賄事件で、日本の卵は世界から「危険視されている」ことが分かったと報じている。週刊誌的な発想のいい企画である。

   卵は「価格の優等生」といわれる。値段の変動はほとんどなく、昔いわれていたように卵は1日2個以上はダメという健康上の理由も、どうやら間違いだったらしく、食卓に卵が乗らない日はほとんどないというほど、人気の食材である。

   だが、現代は、吉川貴盛元農相が、鶏卵大手のアキタフーズからカネをもらっていることがバレて、収賄罪で在宅起訴されたが、アキタの狙いの一つは、「国際基準に合わない日本の鶏の飼育方法を存続できるように働きかけるため」だったというのである。

   日本の鶏の飼育は、ウインドレスという窓のない鶏舎がほとんどで、60cm×40cmの狭いところに8羽ほどが押し込められていて、運動などできるスペースはないそうだ。

   何しろ、たくさんの卵を産むように品種改良され、普通は年間20個ぐらいしか産まないのに、300個以上産卵させているという。

   カルシウムが不足し、運動不足なので鶏のほとんどが骨粗しょう症で、「世界基準から大きく遅れている」(研究者の加藤武市)

   「'60 年代には300万戸に及ぶ小さな養鶏場がありました。しかし高度経済成長とともに生産の効率化が求められ、大規模な業者による寡占化が進み、現在の飼養戸数は2000戸ほどです。

   バタリーケージを使って、数万羽を管理する飼育法はそういう過程で生まれてきたものですが、諸外国の多くでは、すでに禁止されています」(同)

   EUではバタリーケージは禁止されているし、アメリカではマクドナルドなどの食品小売業者の上位25社が、25年までにケージ飼いの卵の使用を禁止すると発表しているそうだ。

   オリンピックで供される卵も、すべてケージフリーのものだという。さらに、配合飼料は外国産の遺伝子組み換えのトウモロコシであり、長い船旅で運ばれるため、殺虫剤も大量にまかれてある。

   抗生物質の使用も大きな問題だという。それら飼料の成分は卵黄に蓄積されるそうである。大量に安く卵が食べられるようになったのはいいことだが、身体に悪影響があっては何もならない。

   政治家や官僚たちにカネを配って、鶏たちを酷使し続けるシステムを維持するのではなく、安全でおいしい卵を供給するシステムに変えるためにカネは使われるべきである。

   はからずも吉川元農相の収賄罪で明るみに出た卵生産の暗部を、このまま放置しておいていいわけはない。(文中敬称略)

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。