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「子供が誤って使ってしまうと怖い」 駐車場「二酸化炭素」死亡事故の盲点

    15日(2021年4月)夕方、東京・新宿区のマンションの地下1階駐車場で、消火設備が誤作動し、男性作業員6人が閉じ込められた。1人は自力で脱出したものの、5人が取り残され4人が死亡。1人は意識不明の重体だという。この日は、午前中から天井の石膏ボードの張替え作業が行われており、その最中に1人が誤って消火設備を作動させてしまい、シャッターが閉じられ二酸化炭素が噴出したためとみられている。

   元東京消防庁の坂口隆夫氏によると、この装置は空気中の酸素濃度を低下させて消火するもので、消火に水を使えない場所で用いられているという。狭い密閉空間や精密機械がある場所で有効な装置で、二酸化炭素を噴霧して消火する。

  • 番組公式ツイッターより。
    番組公式ツイッターより。
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「誤作動ではなく誤操作ということですね」

   東京理科大学の小林恭一教授によると「窒息消火というもので、人も死んでしまうことがある」という。事実、2020年12月には名古屋市のホテルの立体駐車場で作業員1人が死亡、今年1月には東京・港区のビルの地下駐車場で点検をしていた作業員2人が、同様の事故で死亡している。

   MCの谷原章介は「命を救うための設備で、人の命が亡くなるのはいたたまれない気持ちになる」とコメントすると、フジテレビ解説委員の風間晋は「確証はありませんが、一定の広さのある施設にはそれ相応の防火設備を入れないといけないはずで、その場合に二酸化炭素で消火する設備はコストパフォーマンスがいいからなのではないかと予測できます」と話した。

   取材したリポーターは「建物奥に二酸化炭素ボンベがおかれていますが、見る限り破損はなく、警察は誤って作動させてしまったとみているようです」とリポート。谷原は「誤作動ではなく誤操作ということですね。マンションの住人も不安でしょう。子供が誤って使ってしまうと怖いですね」とコメント。

「一瞬で噴射されるので、普通は逃げられません」

   二酸化炭素消火設備が作動する仕組みは、機械の扉を開けると警告音が発せられ、その後に「火事です。火事です。消火剤を放出します」と警告音声がアナウンスされる。その後、放出ボタンを押すと20秒後に機械が作動。シャッターが下り、二酸化炭素が放出される。

   坂口氏は「機能を知らないとわからない場合があるので、事前に教えておく必要がある。機械は駐車場の入り口にあり、誰でも押してしまう恐れがあるので、工事関係者も二酸化炭素とは知らずにいた可能性がある」とコメント。

   谷原が「脱出口などを設置することはできないのか?」と聞くと、坂口氏は「一瞬で噴射されるので、普通は逃げられません」と解説。

   お笑い芸人のカズレーザーは「いたずらで人の命が奪われてしまう可能性もある。脱出困難ということになると、設計にも問題があるのでは?」と言い、谷原は「人感センサーでシャッターを止めるとか、二重三重の安全策が必要なのではないか」と言うと、坂口氏は「安全弁を設置すると、火事の時に二酸化炭素ガスが出ないことになり、本末転倒になってしまう。ふたを開ければメッセージが流れるので、それを確認してからボタンを押せば事故は起きないはず」とコメント。

   谷原は「再発防止の手を考えたいですね」と訴えた。

(バルバス)