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土石流被害の地元住民「いつか崩れるな」 「あさチャン!」に語った「盛り土」への危惧

   「静岡県熱海市で起きた大規模な土石流。静岡県は安否が確認できていない64人の名前をきのう(2021年7月5日)の夜、公表しました。」と司会の夏目三久。続けて日比麻音子アナが「生存率が急激に下がるとされる発生から72時間が迫る中、今も現場では懸命の救助活動が続いています」と伝えた。

  • 番組公式サイトより
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「みんな薄々感じていたと思う」

   県の発表の後、名簿に名前があった石井裕隆さんと石井志歩さんの無事は確認されたが、いまだ62人の安否が未確認となっている。

   救助活動を困難にしているのが、5万立方メートルというすさまじい量の土砂。建設残土の盛り土だと見られている。確かに、崩落の起点を見てみると、左側が黒い土の盛り土であるのに対し、右側は茶色い土の溶岩であることが分かる。

   盛り土について、以前から地元の間では「いつか崩壊するのではないか」という危惧があったそうだ。住民の男性は「いつか来るとうちらも思っていましたよ。また泥持って行っているから。前ちょっと崩れたりしたんだけどいつか全部崩れるなって」。また、別の住民男性も「土砂をどんどん運んでくる。伊豆山の人はみんな知っているよ。こんなことが起きるんじゃないかっていうのはみんな薄々感じていたと思う」と話す。

盛り土の造成地「全国に5万カ所以上あると...」

   熱海市によると造成工事は2007年に神奈川県内の企業が行い、土地はその後現在の所有者に売却された。

   所有者の代理人・河合弘之弁護士は「平成23(2011)年の2月25日にこの土地を含む40万坪の土地を買った。買った時に埋め立て地で脆弱な土地だとは全く知らなかった」と話す。所有者は周辺に太陽光発電の施設を建設したが、「盛り土とは離れた場所にあり、崩落の原因にはなっていない」としている。

   盛り土の造成地は、全国にどのくらいあるのだろうか? 帝京平成大学の佐藤剛教授は「全国に5万カ所以上あると言われています。今回の土砂崩れが発生したものと同じように、危険なものもあると思います」と指摘する。

   国土交通省は2007年度から盛り土造成地を調査中だが、安全性が確認できているのは全国で3.9%(2021年3月時点)にとどまっている。

(ピノコ)