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川合(永野芽郁)の苦闘と成長物語 「地に足がついた」展開に納得
「ハコヅメ~たたかう!交番女子~」(日本テレビ系)

   「どうせ来るならクソ野郎」――このドラマの中で、交番勤務の女性警察官が、交通違反の取り締まりを行う際に繰り返し唱える『呪文』だ。

   その心は、うっかり交通ルールに触れて心底から詫びる善良な市民に違反切符を切るのはしのびないが、「どこに目をつけてんだよ、この税金泥棒」などと悪態をつくような『クソ野郎』には気持ちよく切符を切ることができるということだ。

  • 日本テレビの「ハコヅメ~たたかう!交番女子~」番組サイトより
    日本テレビの「ハコヅメ~たたかう!交番女子~」番組サイトより
  • 日本テレビの「ハコヅメ~たたかう!交番女子~」番組サイトより

藤(戸田恵梨香)の異動の秘密とは?

   日本はおろか世界中のどの国にもない警察組織や捜査システム、実際にはほとんどあり得ない稚拙な捜査や法律違反の乱暴な取り調べを行う刑事たち......そんな現実離れした荒唐無稽の日本の刑事・警察ドラマに辟易している視聴者にも、このドラマはおススメだ。

   主人公は、埼玉県警町山署町山交番に勤務する地域課の新米巡査・川合麻依(永野芽郁)。安定した生活をしたいと公務員試験を受けまくったが、受かったのは埼玉県警の警察官採用試験だけ。仕方なく警察官になったものの「もう辞めたい」が口癖だ。 そんなダメ新米巡査が町山署刑事課の元エース刑事・藤聖子(戸田恵梨香)とペアを組んだことで、警察官として1歩ずつ成長していく。その姿をコメディータッチで描いた物語だ。

   ドラマでは、冒頭に紹介した交通違反の取り締まりをはじめ、非行少年の保護、遺失物届の受付など交番勤務の一見地味な日常業務がリアルに描かれる。そして、そうしたエピソードの裏側に深刻な家庭問題や重大犯罪が潜んでおり、それを『交番女子』が解決していくという展開に違和感はなく、コメディー仕立てのストーリーにも素直についていける。

   そうした現実味のあるエピソード、地に足がついた展開は、原作に理由がある。

   原作は、某県の警察に10年間勤務し、交番勤務(通称・ハコヅメ)の経験もある泰三子さんが講談社「モーニング」で2017年から連載中の人気漫画「ハコヅメ~交番女子の逆襲~」。道理で、リアルなわけだ。

   ドラマでは毎回、2人が身近で起きた事件を解決していく一方、警察学校を首席で卒業して「ミス・パーフェクト」と呼ばれたエリート刑事がなぜ交番勤務に異動してきたのかという『謎』が、視聴者の耳目を引くように随所でささやかれる。パラハラを働いて左遷されたともっぱらだが、視聴者にも、それが表向きの理由に過ぎないというのがミエミエだ。

   今週21日(2021年7月)放送の第3話では、そうした『秘密』の一端が明かされる。川合の意外な特殊能力も判明し、いよいよドラマは本題に突入する。(毎週水曜よる10時~)

(寒山)