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「医療を知らない人が決めた方針としか思えない」 入院制限方針に「モーニングショー」で医師あ然

   きのう4日(2021年8月)の新規感染の確認者数は、東京で4166人、全国で1万4207人と過去最多を記録。首都圏では東京を含め、埼玉で1200人、千葉で840人、茨城で290人、栃木で178人、群馬で204人、山梨が49人と、神奈川県以外いずれも過去最多となった。全国では計14都府県で過去最多の感染者数となった。政府はまん延防止等重点措置の提供地域を拡大する方針を固めた。

   「モーニングショー」ゲストコメンテーターの池袋大谷クリニック・大谷義夫院長は「感染爆発の状況になっている。予想をはるかに超えて急激に増えている。市中感染が起きていることは間違いない状況だ」と話す。

  • 政府は入院制限方針を打ち出したが…
    政府は入院制限方針を打ち出したが…
  • 政府は入院制限方針を打ち出したが…

尾身茂会長は「この件に関して(政府と)相談、議論」せず

   政府分科会の尾身茂会長が「東京で1日1万人の新規感染者が出る可能性もある」と警告する状況下で、政府は重症者や重症化リスクが高い患者に入院を限定する方針を打ち出した。しかし、これには与野党から撤回を求める声が上がった。与党公明党の高木美智代衆院議員は「自宅療養はあり得ない。検討しなおすべき」と訴え、自民党内からも「党として受け入れられない」との声があがるが、菅義偉首相は「撤回ではない。しっかり説明を行っていく」と述べたのみだった。

   尾身会長は「政府とは毎日のように相談、連絡、協議しているが、この件に関して相談、議論はしたことはない」と話す。これに対して田村憲久厚生労働相は「病床のオペレーションの話なので政府で決めた。医療資源は短期間に急には増えない。緊急事態に入りつつある中で先手を打って対応している」と述べた。

   大谷院長は「入院方針の見直しには大変失望した。往診やオンライン診療だけで入院の適用を判断することは難しい。CTなしで入院適用を決めるというのは医療を知らない人が決めた方針としか思えない」と驚きを隠さない。

   社会活動家の石山アンジュは「政府の決定に唐突感がある。与党内の足並みも揃わず、医師から見ても実態に合っていない。十分に議論されていないと思う」とコメント。

長嶋一茂「ハリボテ政策しか出していない」

   テレビ朝日のコメンテーター、玉川徹は「こんな状況になったのはこれまでの政府の政策の結果。加藤勝信官房長官が会見で『県境を越えた移動を避けてほしい』と言っていたが、県境を越える移動とはGO TOトラベルそのもの。GO TOの後には西村康稔大臣は『エビデンスがない』とその影響を否定していた。到底受け入れられない」と指摘。

   スポーツキャスターの長嶋一茂は「総論、各論から政府は目を背けその場しのぎのハリボテ政策しか出していない」とコメントした。

   大谷クリニックでは直近の1週間の要請者数は43人で、前週の10人から大幅に増えた。陽性率も48.8%と急激に増えているという。大谷院長が紹介した実際のケースでは、肺炎の症状が出ている40代の陽性男性がクリニック内でのX線撮影中に容体が急変し、意識を喪失したことがあるという。男性は意識が戻り受け入れ可能な救急搬送先を探したが、見つかるまでに40分かかったという。

   また、自宅療養中に発熱した20代男性からクリニックに電話があり、保健所から電話を1回受けただけで食料の配送もパルスオキシメーターも届かないという。大谷クリニックでは、この状況を見過ごす事ができず、スタッフがパルスオキシメーターと解熱剤を自宅まで届けた。

   大谷院長は「往診やオンライン診療ではCT検査など入院のための検査が十分にできないので、重症化しそうな自宅療養者を選別できるか疑問」と訴えた。

   玉川は「マクロの視点とミクロの視点が必要」と言い、「現場で何が進行しているのかというミクロの視点を伝えることが大事。こうしたケースを聞くと、自分の身は自分で守るしかないとしか思えない」と嘆いた。

(バルバス)