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硫酸事件スピード逮捕で注目 「防犯カメラ」の実力と懸念点

   東京メトロ白銀高輪駅で22歳の会社員男性が硫酸をかけられて重傷を負った事件は、24日(2021年8月)の発生からわずか4日後、沖縄県中城村の公園で花森弘卓容疑者(25)が身柄を確保され、傷害の疑いで逮捕された。30日の「めざまし8」ではスピード逮捕の鍵となった防犯カメラの映像を用いたリレー捜査と異例の早期公開手配に迫った。

  • 番組サイトより
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映像を公開

   犯行前の24日正午過ぎ、花森容疑者は全身黒ずくめの姿で静岡県内を歩く姿がカメラにとらえられていた。この数時間後、東京港区の赤坂見附駅付近でワイシャツ姿の2人組の後をつけているような映像も。別のカメラでは駅に入っていく姿もしっかり記録されていた。犯行現場となった白金高輪駅では白い手袋でガラス瓶を握っている姿もとらえられていたが、警視庁は事件発生からわずか数時間でこの防犯カメラ映像を公表するという異例の公開手配を行い、花森容疑者を追い詰めた。

   身柄確保時、名前を尋ねられた花森容疑者は「スナガワです」と偽名で答えるも任意同行には素直に応じた。所持していたカバンの中には着替えや現金約50万円などが入っていた。花森容疑者は28日に沖縄から移送されたが、羽田空港では記者たちの質問に一切答えず、一点を見つめたまま警察車両に乗り込んでいった。

   静岡大学農学部に通い、静岡市内の一戸建てに住む花森容疑者。両親は他界し一人暮らしで、家宅捜査では硫酸などの薬品は見つかっていないという。小学校の卒業文集に「将来の夢は生物学者」と書くなど生き物好きで、自宅ガレージからはカブトムシも見つかっている一方、琉球大学在学中には沖縄の固有種をオークションに出すなど問題も起こしていた。

   被害者とは琉球大学時代のサークル、映画研究会での知り合いで、花森容疑者は今年4月に名簿を探すためにサークルを訪れていたほか、事件1カ月前には六本木周辺で被害者と立ち話をしたとみられている。警視庁は容疑者と被害者は親密な関係ではなく、一方的に恨みを募らせた可能性があるとみている。

橋下徹「線引きは考えないと」

   田中良幸・情報キャスター「足どりはかなりはっきりわかっています。犯行後静岡の自宅に戻っているのですが、翌日の25日には名古屋方面に向かっていることが防犯カメラ映像で判明。中部国際空港から那覇空港に向かっていることがわかっていて、27日には警視庁が全国指名手配しています」

   佐々木成三さん(元埼玉県警捜査一課)「都心については防犯カメラは公共機関のほかにも、店舗、企業、一般住宅にもついている。警視庁には捜査支援分析センターという防犯カメラを精査する専門分野がいる。リレー方式で早い段階で容疑者の行動、服装などを把握する。渋谷のハロウィン暴動でも被疑者を都心から自宅までカメラで把握した。初動捜査では必須の捜査項目になると思います」

   古市憲寿(社会学者)「監視社会がここまで進んでいる。今回はだれがやったかわかっていて、個人的恨みであることがわかっている段階で劇場的に犯人を追い詰める方法がいいかどうか議論がある」

   橋下徹(弁護士)「防犯カメラでとらえた万引き犯人をネットで公開すると批判が出る。今回は納得している人が多いが、線引きは考えないといけない」

   佐々木成三さん「公開手配は基準がある。発生当初は第二第三の無差別の可能性があるということで、公共の危険性があるとして公開に踏み切ったのだと思う」

(みっちゃん)