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アンソニー・ホプキンスの演技に凄み 映画「ファーザー」を見て

   私は先日、Netflixで「ファーザー」を見ました。

   「ファーザー」は2020年に公開された、イギリス・フランスの合作映画です。この映画は、認知症をテーマにしたもので、第93回(2021年)アカデミー賞では、アンソニー・ホプキンスが、主演男優賞を受賞しました。(ネタバレあり)

  • 映画「ファーザー」DVDパッケージ(インターフィルム社サイトより)
    映画「ファーザー」DVDパッケージ(インターフィルム社サイトより)
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認知症が進行し、そして...

   長女のアン(オリヴィア・コールマン)は、80歳になった父親、アンソニー(アンソニー・ホプキンス)に、認知症の兆候が見え始めたのを、心配していました。アンソニー(アンソニー・ホプキンス)に、ヘルパーを付けようとしたアン(オリヴィア・コールマン)でしたが、気難しいアンソニーは、難癖をつけてヘルパーを追い出す始末でした。しかし、アンソニーの病状は悪化の一途を辿り、記憶が失われていくだけではなく、自らが置かれた状況すら、把握できなくなっていきました。困惑するばかりのアンソニーは、苛立ちを募らせ、アンに、当たることもありました。アンは、そんな父親を、懸命に支えていましたが、気力と体力は消耗するばかりでした。

   最後は、アンソニーは、それと知らず老人ホームに行きます。

   アンソニー(アンソニー・ホプキンス)の演技が、なにしろ凄いのです。最終的には、自分の名前もわからなくなり、最後は「ママ、迎えに来て」と叫び、何が何だかわからない状態になります。

   また、のちにはパリに行くことになる娘のアンも、素晴らしい演技を見せます。父親に対する愛情と、老人ホームに行かせることの、葛藤で悩みます。

   老人ホームの、介護士の女性(オリヴィア・ウィリアムズ)も「一緒に、散歩に行きましょう。散歩に行ったら、食事をして昼寝をしましょう。そして、また散歩に行きましょう」と、まるで子供をあやすように、アンソニーに接します。この女性のこの態度に、救われます。

   この、映画を見て人生の在り方を、考えました。

渡辺弘(わたなべ ひろし)
渡辺 弘(わたなべ ひろし)
1952年生まれ。東京大経済学部卒業。1976年に日本テレビに入社し、制作局CP、ドラマ制作部長として番組づくりの現場で活躍。編成局長、制作局長、取締役報道局長、常務・専務を歴任した。「マジカル頭脳パワー!!」「THE夜もヒッパレ」「「スーパーJOCKEY」「24時間テレビ」などヒット番組をプロデュースした。 現在は「情報経営イノベーション専門職大学」客員教授。映像会社「2501」顧問。