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薬を過剰摂取する「オーバードーズ」とは? 女子高校生誘拐事件で「めざまし8」が深掘り

   きょう16日(2021年12月)の「めざまし8」は、滋賀県守山市のアパートで薬物中毒死した19歳の女子高校生を誘拐した疑いで男女が逮捕された事件を取り上げた。司会の谷原章介は「市販薬などを過剰に摂取する『オーバードーズ』仲間として集まっていたと供述していることがわかりました」と言い、すぐにオーバードーズ経験者の20歳女子大生のコメント映像が流された。

  • フジテレビ「めざまし8」公式サイトより
    フジテレビ「めざまし8」公式サイトより
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「一気に60錠飲んで、意識を失った」

   「何錠くらい飲むかというと、それはピンキリで、一番多くて100錠くらい」と話すその女子大生は、悩みをSNSで告白すると誘いの言葉が返ってきたという。「私もやっちゃう、LINEしませんか、電話しませんか、近くなので会いませんかという感じになる」という。

   実はSNS上では、このように薬を大量に飲む行為を告白する若者の投稿が相次いでおり、中には「一緒にOD(オーバードーズ)してくれる人募集」「一緒に薬飲んでくれる友達が欲しい」などの投稿も多数みられる。

   別の20代女性は「8月にオーバードーズして倒れてそのまま入院。鍵のかかる病棟に入れられて、11月に退院した。倒れた時は一気に60錠飲んで、意識を失った」と話した。オーバードーズした理由については「交際している人とお金でもめて、『返す』『返さない』でいざこざがあったり、職場の人間関係でも悩んでいた」という。これをSNSで告白すると『すごい!』『大丈夫か? 誰かに話を聞いてもらったほうがいいぞ』など多くの反応があり、救われた気持ちになったという。この女性は、そうしてSNSで知り合った人と実際に会ったとも話した。

   若者メンタルサポート協会の岡田沙織理事長はコロナ禍になって相談件数が増えてきたと言い「オーバードーズ関係の相談も増えており、2~3割ある」と話す。オーバードーズしている相談者は、送ってくるLINEのメッセージに平仮名が多く、支離滅裂な言葉を送ってくることが多いそうだ。

   過去にオーバードーズしていた館山ダルクの職員は「仲間がいると一人の時より気が楽で、みんなに合わせて飲むのでつい過剰になってしまい、お互いがつらいことになってしまう」と話した。

   若者メンタルサポート協会に寄せられた相談件数は、去年の4月に1万7870件だったが、コロナ禍の今年の1月には4万1063件と約2倍に。8月にも4万件を超えたという。岡田理事長は「家庭に居場所がないという相談が増えている。人と会えないコロナ禍で"ネッ友(ネットの友達)"に連絡して励ましてもらっているという人が増えた」と話す。

   オーバードーズする薬物の種類も変わった。2014年には危険ドラッグが半数を超えていたが、2020年は市販薬が半分以上を占める。

古市憲寿「裏側には寂しさがある」

   過剰摂取の危険性について法科学研究センターの雨宮正欣所長は「酒など、同じような作用を持つものを併用することは非常に危険。連用すると体にダメージが蓄積。問題ない量でも症状が出る恐れがある。簡単に入手できる市販薬は手を出しやすい。より刺激を求め、強い薬物にエスカレートする危険性がある」と指摘する。

   岡田理事長は「相談し来る子供たちが言うのは、親に怒られるので救急車で運ばれない程度にやっているということ。今の子は注意されても言い返せず、悩んで相談してくるケースが多い。コロナ禍でネット上の仲間と信頼関係を築いて、緊急事態宣言明けに会うことになったという人もいる」と話す。

   谷原が「子供がやっていたら、僕は怒ってしまうかも」と話すと、岡田理事長は「自傷している場合もあるので、頭ごなしに怒らず、なんでそうするのか聞いてあげてほしい。聞いてあげないと心を閉ざして、ネットに行ってしまう」と訴える。

   社会学者の古市憲寿は「SNSで救われる人もいる。こうしたことの裏側には寂しさがある。人間関係を改善するしかない」とコメント。

   モデルでタレントのトラウデン直美は「自分で自分が悪いと思っている部分があるが、怒られると理解されてないと思ってしまう。ネットで救われている部分があるのは事実だが、学校や家以外に居場所や逃げ場所を作っておくことが大事だと思う」と話した。 谷原は「コロナ禍でそういう居場所を探す行為もできなかったという面もある」とコメントした。

(バルバス)