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東大刺傷事件で橋本五郎「第一義的に個人の問題」 「社会の病理と取り上げようとしているが違うと思う」

   大学入学共通テストの東京大学試験会場で受験生ら3人が突然刃物で切りつけられるという衝撃の事件が起きた。殺人未遂の疑いで逮捕されたのは愛知県の進学校に通う高校2年生で、少年は複数の刃物の他に火炎瓶のようなものも所持していた。現場に向かう途中の駅構内など8カ所には放火を試みた跡もみられたが、いったい何が起きていたのか。17日(2022年1月)の「スッキリ」では事件の詳細を報じた。

   14日朝8時半すぎ、東京大学弥生キャンパスから80メートルほど離れた交番に72歳男性が「東大の中で刺された」と駆け込んできた。被害者はこの男性のほか共通テスト受験生の男子高校生と女子高校生。3人とも背中を刃物で切りつけられていた。

  • 番組サイトより
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学校などがコメント発表

   少年は犯行後に「東大来年受けます」と叫んで警備員の元に向かった。「どうしたの。落ち着いて」と声をかけられると、持っていた刃物とバッグ、空箱などを投げ捨てて門の前に座り込んだ。その後少年は駆けつけた警察官に現行犯逮捕されたが、この時6センチのツールナイフと21センチの折りたたみ式のこぎり、さらにバッグの中にはエタノールとみられる可燃性液体が3リットル入っていた。

   逮捕を目撃していた男性によると、「どっから来た」と大声で怒鳴られていたにもかかわらず少年は無表情でしゃがみこんだまま。歩けない状態だったので4、5人に抱えられて車に乗り込んでいったという。

   事件発生から1時間後、予定通り試験は実施された。

   少年は事件前日14日の午後11時頃、高速バスに乗り東京駅に向かったという。朝6時頃に東京駅日本橋口でバスを降りると地下鉄を乗り継いで東大前駅へと向かった。途中南北線車内では液体がまかれる騒ぎが起きたほか、東大前の駅構内には着火剤や栄養ドリンクのビンで作られた火炎瓶のようなものでボヤ騒ぎも起きている。少年は「液体をまいて火をつけようとしたがうまくいかなかった」と、これらの事件についても関与をほのめかしている。

   事件の動機について「医者になるために東大をめざして勉強していたが、成績が1年前からふるわなくなった。医者になれないなら自殺しようと思った」と語っているという。

   少年の通う高校だが、学力上位グループは東大などを狙う生徒が多い進学校。学校自体は自由きままでギスギスした感じはないが、上位グループ生徒は、親からの医学部に進めという圧力に悩んでいる人もいるという。

   少年の父親は「世間をお騒がせしまして、誠に申し訳ございません。被害にあわれたご本人さまには、心より申し訳なくおわび申し上げます」と弁護士を通じてコメントを発表。高校も「学校としてお詫びします。勉学だけが学校生活のすべてではないというメッセージを発信してきました。ところが昨今のコロナ禍で学校行事の大部分が中止となり、正反対の受け止めをしている生徒がいることがわかりました。孤立感を深めている生徒が存在しているのかもしれません」と謝罪コメントを発表した。

   被害受験生に対し、文科省は「容体を見守りつつ、追試験の受験が可能かどうか含め今後の対応について検討してまいります。各大学の個別判断で合否判断をすることも可能」としている。

   橋本五郎(読売新聞特別編集委員)「社会の病理と取り上げようとしているが違うと思う。第一義的に個人の問題で、一気に社会の話になると拡散してしまう。受験生だけではない。我々も経験して乗り越えている。人を巻き込むことは許されないというところからスタートしないと」

   井上芳雄(俳優)「他人を不幸にしても自分は幸福にならない。巻き込むことで解決できると思ったのか疑問。『東大来年受験します』と叫んだというがなんともやりきれない。どういう思いで叫んだのか」

(みっちゃん)