J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

石原良純が驚いた訪問看護の実態 埼玉立てこもり事件の「背景」とは

   埼玉県ふじみ野市で27日(2022年1月)に発生した立てこもり発砲事件。医師の鈴木純一さん(44)を散弾銃で殺害した疑いで逮捕された容疑者(66)が、死亡した母親を蘇生するよう要求していたことが明らかになった。

   現場でいったい何が起きていたのか「モーニングショー」では事件の背景に迫るとともに、今、在宅介護現場で起きている深刻な実態に踏み込んだ。

  • 医療関係者の「安全確保」も課題となっている
    医療関係者の「安全確保」も課題となっている
  • 医療関係者の「安全確保」も課題となっている

地元医師会にも相談

   容疑者の母親は事件前日に亡くなり、主治医の鈴木医師が死亡確認をしていた。容疑者は「明日の午後9時に焼香に来てほしい」と告げ、鈴木医師は関係者7人で容疑者宅を訪れた。

   容疑者はそこで「母親の心臓マッサージをしてほしい。生き返るのではないか」と要求。鈴木医師が「死亡してから30時間近く経過しているのでできない」と断ったところ、容疑者は散弾銃を取り出し発砲したという。銃弾は心臓を貫通し、鈴木さんは即死だった。

「バンバンと3発、音が聞こえた」(事件現場の近所の人)

   鈴木さんのクリニックは24時間365日対応の在宅訪問診療所。地域の訪問医療に尽力し、コロナ禍の自宅療養者も支えていた。献花に訪れた人は「患者さんの不安を的確な診断と見立てで丁寧に説明してくださる。母が去年10月まで診てもらった。たった3カ月だったんですけど、私の気持ちを穏やかにしてもらって、母も安らかに眠れた」と語る。

   しかし、鈴木医師と容疑者の関係は去年から変化していた。母親の胃ろうを求める容疑者と意見が合わず、鈴木医師は治療方針について地元医師会に15回ほど相談していた。

「高齢のお母様だったので食事がのどを通らないが、在宅医療で胃ろうは今はなかなか作らない」(東入間医師会・関谷治久会長)

   治療方針に関する意見の電話は、事件の3日前にもあったという。容疑者は「鈴木さんを最初に撃った」「母が死んでしまいこの先いいことないと思った。自殺しようと思った。先生やクリニックの人を巻き込んで殺そうと思った」と供述している。

   2018年の全国訪問看護事業協会調査では、訪問看護師の53%が精神的暴力、45%が身体的暴力を経験したことがあるという結果がでている。患者と医療従事者の間のトラブルはなぜ起きるのか。

   関西医科大学の三木明子教授は「一人で訪問することが多く、暴言暴行のリスクが高い。医療従事者は言い返せないと思いエスカレートしやすい。さらにコロナ感染対策で短い時間で治療を行うことで、意思の疎通が取りにくい」と理由を語る。

   石原良純(気象予報士・タレント)「訪問看護が一人ということに驚いた。病院では医者が一人で対応しないのは当たり前で、患者には背中を見せない。ただ、安全確保するにはマンパワーが必要。大阪の放火事件もそうだが、いいお医者さんほど患者さんとの距離が近くなる」

   玉川徹(テレビ朝日)「今回も拡大自殺の一例になった。自殺の背景には絶望がある。母親だけが自分を支える存在だった。収入的にもそうだったのかも。大阪の放火事件も被害者は素晴らしい人格を持っていた医師だった。誰からも尊敬される光のような存在と、絶望に至り社会から退場したい影のような存在。光と影のようなものを感じる」

(みっちゃん)