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玉川徹、「キエフ攻略あきらめか」に異議 「楽観はできない」

   ロシア国防省は25日(2022年3月)、「(ウクライナでの)作戦の第一段階の目標はおおむね達成された。主要目標である東部地方の解放に注力することが可能になった」と発表した。ロシア軍が作戦を大きく修正した可能性はあるのか。28日の「モーニングショー」ではスタジオに専門家を呼んで詳しく話を聞いた。

   防衛省防衛研究所の高橋杉雄さんによると、もともとロシア軍には、首都のキエフ攻略と東部ドンバス地方と南部のクリミア半島間のルートを作る目標があったという。しかし、米国防総省高官によると、キエフ周辺に展開するロシア軍は進軍を停止、防御態勢に入っているという。

  • ウクライナ情勢に関心が集まっている
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識者は「欺瞞の可能性も」指摘

   高橋杉雄「キエフを包囲してウクライナ勢力に圧力をかけ、自分たちに有利な停戦協定を結ばせる目的があったと思うが、キエフを攻略しきれなかった。北側に資源を集中させ、キエフを再び包囲するやり方もあるが、これはギャンブルで負けたら全てを失ってしまう。より確実な南部を固め、ドンバス、クリミア地方の支配を確立目標に絞った可能性がある。だからといって、キエフ周辺の部隊を撤収させるわけにはいかない」

   こうした動きについて、米国防総省高官は「ロシアがウクライナから東部を切り離そうとしている」とみている。一方、アメリカの戦争研究所は、「ロシアがドネツクとルガンスクの支配だけで満足すると考えるのは正確ではない。主要都市への攻撃は続く」と警告している。

   高橋杉雄「ミサイルなどの攻撃はロシア側にリスクはほとんどないので、西部リビウなどへの攻撃は続くと思う。2つ事業があって、両方ともうまくいかないときに片方を損切りするのは簡単ではない。キエフを再攻勢するため、関心を南部に向けさせる欺瞞の可能性も」

   石原良純(気象予報士・タレント)「実際に何が起こっているのかわからない。近代戦は兵站を最初に叩くが、ロシア軍はウクライナ西部リビウの兵站基地を叩いていない」

   高橋杉雄「兵站を完全に遮断するのは簡単ではない。これまでロシア軍はミサイルをすでに1100撃っているが、兵站攻撃か都市攻撃か中途半端で絞りきれていない。ロシアは二兎を追って二兎取れると思っていたが、ウクライナの抵抗と西側の援助が予想より強かった」

   山口真由(信州大学特任教授)「キエフ陥落が時間の問題と報じられていたが、明らかにうまくいっていない。どこに根本的問題があるのか」

   高橋杉雄「キエフは最初の評価が甘かった。ベラルーシ国境から100キロあるので、キエフ到着まで1週間かかっても不思議はない。ロシア側は無理に市街地に突入しても損害を被るので時間がかかる」

   玉川徹(テレビ朝日)「『キエフ攻略あきらめか』と小見出しがついているが、楽観はできない。うまくいっていないのは事実だが、侵攻からまだ1カ月。戦争は年単位で続いていく。長期戦を覚悟しなければいけない」

   高橋杉雄「コソボ空爆は78日、湾岸戦争は3カ月続いた。イラク戦争のバグダッド攻略は1カ月かからなかったが、その後10年単位で続いた。長く続くと国際社会の関心が薄れていく」

(みっちゃん)