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駐日ジョージア大使が語った「ロシアの手口」(モーニングショー)

   激化するロシアのウクライナ侵攻だが、29日(2022年3月)の「モーニングショー」は、14年前の2008年にウクライナと同じようにロシアの侵攻を受けたジョージアに注目。駐日大使のティムラズ・レジャバさんに侵攻の経緯や当時の状況、さらには国民が今どう感じているかなどについて、生中継で詳しい話を聞いた。

   ロシアとトルコの間にはさまれ、黒海の東に位置するジョージア。7万平方キロと北海道よりやや小さな国で、人口は約400万人。NATOやEUには加盟していない。19世紀前半にロシア帝国に併合され、ソ連には1922年の成立時から参加していた。1991年のソ連崩壊後は独立を宣言したが、2008年4月にNATO首脳会議がジョージアを将来の加盟国として検討する方針を示したことがきっかけで同年8月に軍事衝突が起きた。

  • ウクライナで起きていることとの共通点とは
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「我々はウクライナ侵攻と似たことを経験している」

   まず、ジョージアからの独立を求める南オセチアがジョージアと衝突。これにロシア軍が「南オセチア住民を守る」という名目で介入し、わずか5日間でジョージアの一部を制圧。EUの仲介でロシアとジョージアは「武力の不行使」「軍事行動の最終的停止」「人道支援の保証」「ジョージア軍は通常の配置場所に戻る」「ロシア軍は撤退するが、対象地域にロシアの平和維持部隊を置く」「南オセチア・アブハジアに関する国際的議論の開始」の6項目の和平案で合意した。

   その後、ロシアは南オセチア自治州、アブハジア共和国の独立を一方的に承認したが、一連の動きをみると、サイバー攻撃や人権問題の主張で軍事介入を正当化。その後軍事圧力を強めて一部地域の独立承認と、経緯はウクライナ侵攻と酷似している。

   レジャバ大使「我々はウクライナ侵攻と似たことを経験している。懸念して注目していた。ウクライナだけではなく、ジョージアやモルドバも領土問題をかかえている。2008年当時は大学生で首都のトビリシにいたが、ものすごい恐怖だった」

   廣瀬陽子(慶應大学教授)「2008年の戦争は伏線。この時は国際社会があまり強く出なかったことで2014年のクリミアにつながった。国際社会が深刻に捉えていたら、今はなかったかもしれない」

   レジャバ大使「今回は難民が多く出ていてヨーロッパに対する影響が大きい。今回の手口は初犯じゃない。国際的なロシアに対する注視は高くなっていた」

   南オセチア、アブハジアとの境界には、ロシア側が一方的に設定した「有刺鉄線の国境」が設置されているが、この境界はじわじわとジョージアを侵食するように移動していて「這う国境」ともよばれている。他にも、境界付近で誘拐や拘束が頻発したり、ジョージアがウイルスを作り出しているというような情報工作が行われたり、南オセチアやアブハジアではジョージア人に対する差別が行われたりといったことが起きているという。

   レジャバ大使「大事なのはこの結果をうけて平和的に解決しようという意思があること。武力の行使はよくない。国際的に認められた領土の主権を主張していく」

   廣瀬陽子「領土保全、独立をまもるというのは重要なポイント。6項目の和平案は、ジョージアの領土保全がかかれていない悪い和平案だった。国際社会が守る方向に持っていかないと、力による現状変更が次々と起こってくる」

   玉川徹「今のプーチン政権は、我々からするととても許せるようなことをやっている国ではないが、(ジョージアやウクライナは)隣り合って逃げることもできない宿命がある」

   レジャバ大使「領土は選べるわけではないので宿命という言葉は響いた。日本の皆様に注目してもらうことは、支援も含めてありがたい」

(みっちゃん)