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観光船の安全、乗客の注意点は? 識者が示した3つのポイント(THE TIME,)

   知床半島沖で転覆した26人が乗った観光船では、なお行方不明の12人の捜索が海底に沈んだ船内などで続くが、連休中の岩手県の三陸海岸をめぐる観光船の担当者は「他人事じゃない」として、安全点検など運航基準を厳しくするなど緊張する姿を、2日(2022年5月)の「THE TIME,」は特集した。「知床 水中カメラでの捜索続く」は、「けさの気になるトップテン」の第1位だった。

  • 「KAZU I」 運行会社・知床遊覧船のウェブサイトより
    「KAZU I」 運行会社・知床遊覧船のウェブサイトより
  • 「KAZU I」 運行会社・知床遊覧船のウェブサイトより

運航基準の厳格化も

   120メートルの海底に沈んだ「KAZUⅠ」の船内にはなお不明となっている乗客が残された可能性もあり、水中カメラなどで捜索が続くが、潮の流れが速く、作業は難航している。これまでの調べでは、船体後方のドアが開いているのが確認されている。

   事故3日前には、国土交通省が所管する日本小型船舶検査機構の検査を受け、通信手段を衛星電話から携帯電話に変更して申請した。携帯電話を使う場合は、航路で通信できる場合に限り、携帯電話を通信機器として認めるが、運航会社の元従業員は、「無線つながらないからな、と豊田(船長)に、2、3日前に言った時、携帯でもいいって言われたんだよな、とか言ってたんだわ。オレの(携帯電話会社は)つながらないんだよな、と(豊田船長は)言っていた」。豊田船長が利用する携帯電話会社は「現場海域は通信エリア外」と公表。国交省の坂巻健太・大臣官房審議官は(4月)30日、「(家族から)もう少し客観的に調べてもよかったのでは、などの声はあった」。

   一方で、岩手県の三陸海岸の高さ200メートルの「北山崎断崖」をクルーズする観光船は連休に合わせて今シーズンの運航が始まった。初日となった29日には、船に群がるウミネコにエサをやる観光客の姿もあった。観光船は知床の事故を受けて、運航基準を厳しくした。

   これまでの基準では「風速15メートル以上、波の高さが2.5メートル以上、視界が500メートル以下」の場合は「運航中止」としてきた。事故を受けて、出航できるのは「風速10メートル以下まで」と厳しくした。昨日、岩手県田野畑村は雨で、「波の高さは1.5メートル、風速は3~4メートル」だったが「欠航」を決めた。スタッフは、「風が強くなる予報が出ていましたので、早めの判断をした」「(知床の事故は)ひとごとじゃないなということです」。

   安全対策としては、救命胴衣を乗客が見える位置に収納、操舵室には、客室の様子がリアルタイムでわかるカメラを設置している。陸上との連絡は無線を使う。

   乗客はどういった点に注意をすればいいのか。水難学会の安倍淳・副会長(元海上自衛官)は、「脱出口の確認、救命胴衣の保管場所の確認、船が安全なのか、その地域の観光協会などに確認する」という。

(栄)