J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

「性犯罪につながる恐れも」 尼崎市の市民情報入りUSB紛失に識者懸念(スッキリ)

   岩田絵里奈アナが「6月23日(2022年)、兵庫県尼崎市が全市民およそ46万人分の個人情報が入ったUSBメモリーを紛失したとして会見を行いました。さらに、会見中にパスワードの桁数を明かすなど、情報セキュリティの甘さが垣間見えました」と、24日の「スッキリ」で切り出した。

  • 兵庫県尼崎市の市役所サイトより
    兵庫県尼崎市の市役所サイトより
  • 兵庫県尼崎市の市役所サイトより

市長「信じられない思い」

   紛失したUSBメモリーには、全市民分の名前、住所、生年月日、性別など住民基本台帳の情報、36万人分の住民税の額、生活保護受給者1万7000人分の口座情報、児童手当受給世帯6万9000人分の口座情報が入っていた。尼崎市の稲村和美市長は「信じられない思い」と話している。

   紛失したのは6月21日のこと。新型コロナ関係の臨時特別給付金支給業務の委託を受けた会社の社員が、USBメモリーで情報を持ち出してコールセンターで移管作業を行った。勤務時間終了後、4人で飲食店に行き19時30分から22時30分まで酒を飲んだ。同席した2人はUSBメモリーが持ち出されていることは知らず、1人は中身の確認はしていなかったという。持ち出した男は飲食店を出た後、帰宅途上で路上で3時間ほど寝てしまい、午前3時に気づいたときには鞄ごと紛失していることに気づいたという。

   伝えられた経緯を見ると、尼崎市と委託業者には3つの過ちがあったと専門家は指摘する。1つ目は、許可の不徹底だ。市と委託業者はデータを持ち出す際には事前に許可を取るよう取り決めていたが、USBメモリーへのコピーについての取り決めはなされていなかったという。

   神戸大学の森井昌克教授は「使用制限付きの高度なUSBもあるし、ネットワークを使って保存することもできる」と、USBメモリーでの情報持ち出しの安易さを指摘。

橋本五郎「意識が低すぎる」

   2つ目の過ちは、個人が情報を運搬していること。本来はセキュリティ情報運搬の専門家が運ぶべきだったという。3つ目は消去せずに持ち歩いたことだという。

   また会見でパスワードの設定方法などを離してしまったことについて、森井教授は「パスワードを言ってしまうとは。サイバーセキュリティの素養がないとしか言えない」と語った。

   23日に尼崎市で紛失したUSBと銘打ったUSBメモリーがメルカリに出品されていた。価格は45万2600円だったが、偽物であることが判明。森井教授は「本物だったら1億円くらいの価値がある。危険性の高い犯罪、たとえば振り込め詐欺、空き巣、強盗、女性の年齢や1人暮らしかどうかもわかるので性犯罪につながる恐れもある」と指摘。

   読売新聞特別編集員の橋本五郎は「森井先生がおっしゃったように、1億円の価値がある情報であるということを意識できていない。しっかり管理されているのかと疑問に思う。本来ならそうした情報を持ち歩くことを恐れなければならないのに、飲みに行き路上に寝るとは、意識が低すぎる」とバッサリと切る。

   司会の加藤浩次は「僕も五郎さんと同じ考えです。そもそも重要な情報が入ったUSBメモリーを持ち歩くことなんてあるんですか?」とSHOWROOM代表の前田裕二に質問。前田は「周りにはいない。20年前の感覚ですね。先日の誤振込でもフロッピーが使われてました。今は社内の重要データにアクセスするときにはネット経由でセキュリティが守られている仕組みの中で安全にアクセスできるようになっています。金融機関ではUSBを差すこむことさえ禁止されているはずです。こうしたセキュリティは100万円程度でできるはず」と解説した。

   森井教授は「政府は国を挙げてデジタル化を進めているが、自治体は遅れている。新しいことをすることに対して不安がある。問題は遅れているではすまないということ。ミスをするのは人なので、管理しなければならないわけですが、それがずさんだった。何が最良化を考えデジタル化を推進するべき」と指摘した。

   俳優の小澤征悦が「1人の人間として重要データ持ち出している中で、よく飲みに行けるなと思う。俺なら怖くてダメです」とコメントすると、加藤は「普段も持ち歩いているからですよ。最初はきっと緊張しているはずですよ」と推理した。

(バルバス)