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「大奥」杉下(風間俊介)の言葉が「沁みる」 吉宗(冨永愛)への励ましが現代にも通じる

   「大奥 八代将軍吉宗・水野祐之進編」(NHK総合)が2月28日(2023年)に放送され、冨永愛さん演じる徳川吉宗と、風間俊介さん演じる杉下の交流に注目が集まった。(ネタバレあり)

   吉宗が妊娠したが誰の子かわからず、「父親は定めぬ」と言っていたが、杉下の勧めで大奥の男たちから父親を決めることに。吉宗は掃除夫の卯之吉(吉田庸さん)を指名した。

  • 表の政が忙しくとも…(写真はイメージ)
    表の政が忙しくとも…(写真はイメージ)
  • 表の政が忙しくとも…(写真はイメージ)

「何一つ欠けるところがない者など...」

   いよいよ出産の時、吉宗はいきみながらも大岡忠相(MEGUMIさん)と仕事の話をやめず、産まれたばかりの我が子を見てもなお忠相を呼び止めるほどだった。

   そんな中、大奥総取締の藤波(片岡愛之助さん)が大奥を去ることに。藤波は最後に

「上様、人は牛馬ではございませぬ。ただ飯を食い、生きておるだけで満たされるわけではござりませぬ」
「父親など誰でも良いとおっしゃられた。種馬扱いもここに極まれりにございます!」

と吉宗に訴える。

   藤波は

「まことにはその通り。ここにおる者たちは皆上様の種馬にございます。けれど、それをあからさまにしてはあまりにもむなしすぎる。故に、それをあたかも情の通ったものに彩ってきたのがここ、大奥にございます」
「『上様と恋をした』卑しい無力な種馬たちはそう思いたいのです。『上様から選ばれた』それはここの男たちの人としての誇りなのでございます!」

と大声を上げ、

「表の政がお忙しいのはわかります。ですがどうか向後はもう少しばかり奥の男たちにも情をおかけくださいますこと、切にお願い申し上げます」

と頭を下げた。

   吉宗は酒を飲みながら、杉下に「藤波の言う通り、私には人の心などわからぬのかもしれぬ」「産婆も呆れておった。産まれたばかりであるのに、赤子ではなく米の値ばかりを気にしておると」と愚痴り、「私はどこか、人としてすっぽりと欠けておるのかもしれぬ」とこぼした。

   杉下は

「なるほど。では、上様はどこか欠けていらっしゃるといたしましょう」
「何一つ欠けるところがない者など、果たしてこの世におるのでございましょうか?」

として、自分や加納久通(貫地谷しほりさん)のサポートで政に注力するよう勧めた。吉宗は杉下の言葉に聞き入った後、にこりと微笑んだのだった。

   ツイッターなどでは

「吉宗公は完璧超人に見えてなるほどシビア過ぎて情には鈍いのか...『されど完璧な人間などおるのでしょうか』という杉下殿の言葉が沁みる...」
「杉下が言う『何一つ欠けていない者などいない』...この言葉が吉宗の欠けている部分を、そっと埋めてくれるんだろうな」
「現代でも人の欠けているところを責めるのではなく欠けているところを補っていけばもっと生きやすい世の中になるのにと思わずにはいられませんでした」

と、杉下の吉宗への言葉に心打たれた人が見受けられた。

(TT)