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加藤浩次「苦情が来たからやめるというのは、もうやめましょう」 高校の「コオロギ粉末給食」中止問題

   森圭介アナが「こちらのパウダーについてお伝えしたいと思います」と言って示したのは、小皿の上に載った薄茶色をした粉。森アナは「こちらの粉、食べ物なんですが、コオロギです。食用のコオロギをパウダー状にした食品で、世界の食糧問題の解決にもつながる可能性もあるといわれていますが、徳島県の高校がこのパウダーを使った給食を提供したところ、さまざまな意見が寄せられて中止となってしまったんです」と2日(2023年3月)の「スッキリ」で伝えた。

  • 学校給食めぐり論議(写真はイメージ)
    学校給食めぐり論議(写真はイメージ)
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希望者だけに提供

   コオロギパウダーを使った料理を給食で提供したのは徳島県立小松島西高校。去年11月の給食メニュー「カボチャコロッケ」に使用した。この高校には調理師の資格が取得できる食物科があり、授業の一環で生徒たちが献立を考え調理した給食を学校で提供している。甲殻類アレルギーの恐れもある食材なので、170人の希望者だけに提供した。先月2月末には食用のコオロギエキスを使ったメニューを提供したところ、保護者から「どうしてそんなものを食べさせるのか」「安全性はあるのか?」など10件ほどの意見が寄せられた。学校では「状況的に厳しくなければ、使用を継続していこうと思っていましたが、この先は考えられない状況です」として、使用が中止された。

   昆虫食は世界でも注目されている。きっかけとなったのは2013年にFAO(国連食糧農業機関)が公表した報告。現在80億人の世界人口が2050年には97億人になる可能性を指摘したうえで、食糧不足の懸念がある中で昆虫食を有望な食材とリポートしたのだ。すでに市場にはコオロギパウダーを使ったお菓子などが販売されている。

   コオロギパウダーを製造している「クラリス」によると、コオロギパウダーとは食用のフタホシコオロギを乾燥させ独自製法で粉末化したもので、120度以上で15分以上殺菌してする。

   コオロギパウダーのメリットは主に2つ。1つは「高タンパク」であること。脂質、糖、タンパク質が三大栄養素だが、タンパク質はもっとも不足が懸念されており、コオロギパウダーは70%がタンパク質。牛肉100グラム当たりのタンパク質含有量は21.3グラム、鶏肉は23.3グラムに対し、コオロギは76.3グラム。食物繊維やミネラル分も豊富だという。もう1つは、「少ない飼料で飼育が可能」であること。たとえば牛1キロ生産するのに8キロの資料が必要だが、コオロギの場合は2キロで済む。昆虫養殖は畜産ほど土地を使用しない点も指摘されている。

   司会の加藤浩次は「オレは食べたことがあるけど、エビっぽくておいしいよ」とコメント。

「どんな苦情が来たのか、苦情の成分をちゃんと見ないと」

   ジャーナリストのモーリー・ロバートソンは「CO2や温暖化は先進国では大きな問題で、EUでもコオロギを新たな食品として認可して、アレルギーや発がん性などのデータも公表している」と指摘。

   加藤は「話を戻すと、なんでここまでわかっているのに給食を中止にするのかですよ。食べたくない人は食べなくていいということだし、人口問題、環境問題を理解する助けにもなる。日本のベンチャー企業のビジネスチャンスも潰してしまっている。僕は正直、苦情を言う人の気持ちがわかりません。どんな苦情が来たのか、苦情の成分をちゃんと見ないといけない。苦情が来たからやめるというのは、もうやめましょうよ。日本がシュリンクする原因の一つになっていると思う」と主張。

   モーリーは「Qアノンなどがコオロギ食を問題にしているのは、お金持ちが肉を食べて、庶民はコオロギを食べるようになるという陰謀論を展開して反対しています」と解説。

   経営コンサルタントの坂口孝則は「この話の流れでは言いづらいが、私はこの議論に意味はないと思っている。もっと大きなのは食品ロスです。コオロギがタンパク質の代替になるとしても、食品ロス問題など他のやり方で食糧問題を考える必要がある。この問題はワン・オブ・ゼム」と指摘。

   それでも加藤浩次は「この議論は学校でやるべきだと思う」と繰り返した。

(バルバス)