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「理屈より感情」を目の当たりに ギリシャ問題から日本が学べること

   ギリシャの政治が、相変わらず荒れています。

   ギリシャは財政的に破綻しており、ドイツを中心としたEUの支援を受けねばならない状況になっていたのですが、EUが支援をする条件として提示してきたのが、増税や年金改革などの国民に大きな負担を強いること。当然ギリシャ国民は大反対します。

「自分がひどい目に遭うのがイヤ」

これからギリシャで起こること
これからギリシャで起こること

   民意は選挙で!ということで、選挙で勝ったのが、上記の緊縮策を破棄することを公約に掲げたチプラス首相。これが2015年の1月。

   その後、銀行の口座封鎖など、国民がパニックになるような酷い状況に追い込まれ、国民投票によって緊縮策受入の是非を問い、国民の過半数は受入拒否を選択します。これが2015年6-7月。

   ここで、チプラス首相、一転して公約撤回!EUの緊縮策を受け入れて支援をゲットします。

   唯一最大の公約を一気にちゃぶ台返された国民は怒り、首相は総選挙の実施を宣言。そして、2015年9月、その総選挙でチプラス首相が勝ったのです。

   このチプラス首相の行動も、国民の投票結果も、理屈から考えるとでたらめです。おまえら、緊縮財政に反対なのか賛成なのか、どうなってるんだよ!とツッコミをいれたくなります。でも、世の中のほとんどの人は、理屈より感情で動いているということも分かります。

   もっというと、「自分がひどい目に遭うのがイヤ」という感情。

日本の将来を考える

   だから、人を動かすためには「感情」を上手く操る必要があります。

   まずは、耳障りのいいことを言ってとりあえず指示を得て、動かす。

   そして、動いてみてひどい目に遭わせてから「これはイヤ」という感情を植え付けて、「じゃ、これやろうよ」と提案する。

   悪く言えば、猿回しの猿の教え方と一緒だし、よく言えば、山本五十六の「やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば 人は動かじ」です(ギリシャの件に関しては褒めるところで銀行の資本制限をしてますが)。

   会社で後輩を指導するときも、日本でニュースでデモの様子などを見ていても、「理屈じゃ理解できないんだろうな。実際に事が起こってみないと」と思うことがよくあります。

   今回、チプラス首相が計算ずくでやったのか、単なる天然なのかはわかりません。

   ただ、日本の将来を考えるに当たって、これからギリシャで起こることから学ぶことは大きいと考えているので、今回の件も含め、経緯を見守っていきたいと思います。(森山たつを)