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ミクシィアカウント 「突然削除」やっぱりあった

   ユーザー数が800万を突破し、20代の3分の1が登録している計算になる国内最大手SNSのミクシィ(mixi)で、ある内容を日記に書き込むと、わずか数時間後にはページが削除されてしまう、という現象が確認された。ミクシィ側は「書き込みの内容に問題があるための削除ではない」などとするが、説明は矛盾だらけだ。

   「ミクシィが何の予告もなく、アダルト系のアカウントを削除する」という証言があることは、J-CASTニュースが06年10月にミクシィのアカウント『いきなり削除』で大混乱という記事で報じたとおりだが、アダルト系でなくともアカウントにアクセスできなくなる様子を、ミクシィユーザーAさんの紹介で、J-CASTニュース記者が目撃することになった。

1時間20分後に突然アカウント削除

笠原社長は「ひとり1ミクシィID」を目指す、と話す
笠原社長は「ひとり1ミクシィID」を目指す、と話す

   Aさんは友人に依頼し、6つのアカウントを準備、2007年1月30日23時ごろ、日記に「ミクシィ(運営事務局)に都合の悪い情報」を一斉に書き込んだ。「mixi運営のメンバー管理に関しての覚書」というタイトルで、大まかにまとめると、こんな内容だ。

「ミクシィの運営事務局がメンバーのアカウントを削除・削除する際、その実質的な決定は派遣社員やアルバイトが行っている。実際に停止する作業は正社員が行うが、上がってきた報告を元に、特に精査せずに機械的に作業を行っている。さらに、アルバイトや契約社員がユーザーの非公開日記・コミュニティを閲覧出来るようになっている。アルバイト間には、内紛も存在する」

   様子が変わったのは、日記が公開されて1時間20分が経った1月30日0時20分ごろ。日記を書いたメンバー6人のうち、2人のページが

「申し訳ございませんがこのユーザーのページにはアクセスできません」

   というメッセージとともにアクセスできなくなったのだ。0時40分頃にはさらに2人がアクセスできなくなり、1時過ぎには6人全員のページがアクセス出来なくなった。
   通常「祭り」などに巻き込まれ、ミクシィ退会に追い込まれたユーザーのページに表示されるエラーメッセージは

「ユーザは既に退会したか、存在しないユーザIDです」

なので、ユーザー6人は、自主的に退会したのではなく、ミクシィの運営側が、何らかの「対応」をした可能性が高そうだ。

「弊社の運営を批判したという理由で対応はしない」

   J-CASTニュースでは、ミクシィに対して、ユーザーのページにアクセスできなくなった経緯や日記の内容の真偽について複数回にわたってメールのやりとりを行った。日記の内容については

「内容については全く事実無根であり、このような悪意ある書込に関し、強い怒りを感じております」

としたが、肝心のアカウントにアクセスできなくなった経緯については

「申し訳ございませんが、個々のユーザーの情報についてはお話することはできません」

とするにとどまった。その上で、

「弊社では、規約に沿った対応をさせていただいておりますが、『弊社の運営を批判した』という理由で対応を行うことはありません」

とも回答している。その一方で、別のメールでは

「書込の内容に問題があるための削除ではないことを繰り返させて頂きます」

とも書いており、説明は混乱しているが、事実上ミクシィによって「削除」されたことは認めた形だ。

   同社が運営する求人サイト「ファインドジョブ(Find Job!)」に以前掲載されていたスタッフの募集要項によると、ミクシィ内での「健全性から外れる行為」に対して「発見」「警告」「対応」するという「パトロールスタッフ」なる職種が存在するという。契約社員としての雇用で、給与は月給22万円から。勤務形態は3交代制のシフト制で、平均年齢は25才だという。

   J-CASTニュース記者は、07年2月7日、東京・有楽町の外国特派員協会で行われた笠原健治社長の記者会見後にパトロールスタッフの規模や人数について質問をぶつけたが、「公表していない」との答えで、「荒らし対策」の取り組みについては聞くことはできなかった。

「ひとり1ミクシィID」になる?

   なお、同記者会見では、高円宮承子女王がミクシィに書いていた内容をきっかけに、奔放な生活ぶりを週刊誌に暴露されたことについて質問が飛び、

「多くの有名な方にミクシィをご利用いただいているというのは光栄な話。一方で、有名な方であるだけに、(ミクシィの利用が)見つかったりした時に騒ぎになったり、今回のように報道されてしまうというのは残念に思っている」

と応じている。笠原社長は「ひとり1ミクシィID」を目指すとも発言しているが、インフラが大きくなり、バーチャルとリアルとの境目が曖昧になるにつれて、その運営の負担が重荷になっている様子も、一方では感じさせた。

   ここ数日を見ても、「ミクシィ」という言葉が新聞の社会面に登場する例が多い。2月4日に投開票された愛知県知事選で落選した候補者の支援者がミクシィで応援を呼びかけていたことが「公職選挙法抵触のおそれ」として問題視されたり、2月6日早朝には、静岡空港の建設に反対する自営業の男性が、ミクシィ日記に静岡県知事に対する抗議文や遺書のような詩を書き込み、その30分後に県庁前で焼身自殺する、という事件も起きている。

   「1億総ミクシィユーザー」という状態に近づくにつれて、ミクシィを舞台にした事件が増えてしまう、という皮肉な事態が起きている。