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指原莉乃から、この1年で「卒業」できたのか チルドレンの思いと自覚【HKT48・1万7000字インタビュー(3)】

   HKT48の新曲「3−2(さんひくに)」(2020年4月22日発売)は、指原莉乃さん(27)が卒業してから初めてリリースされる楽曲だ。

   圧倒的な知名度を誇り、グループの顔として活躍してきた指原さんは19年4月に卒業。指原さんの薫陶を受け「指原チルドレン」と呼ばれることもあるHKT48のメンバーだが、19年夏から秋にかけて九州7県で行ったコンサートツアーのサブタイトルには「あの支配人からの、卒業。」を掲げた。この1年で指原さんから「卒業」できたのか。インタビューの第3回では、この1年の活動をふり返ってもらいながら、指原さんへの思いを聞いた。(聞き手・構成:J-CASTニュース編集部 工藤博司)

  • 2019年に卒業した指原莉乃さんへの思いを語ってもらった。左から村重杏奈さん、松岡はなさん、運上弘菜さん、田中美久さん、田島芽瑠さん、渡部愛加里さん (c)Mercury
    2019年に卒業した指原莉乃さんへの思いを語ってもらった。左から村重杏奈さん、松岡はなさん、運上弘菜さん、田中美久さん、田島芽瑠さん、渡部愛加里さん (c)Mercury
  • 2019年に卒業した指原莉乃さんへの思いを語ってもらった。左から村重杏奈さん、松岡はなさん、運上弘菜さん、田中美久さん、田島芽瑠さん、渡部愛加里さん (c)Mercury

無観客公演「本当に大丈夫だったかな?」という気持ちになりながら...

―― 新型コロナウイルスの影響で、握手会や劇場公演の延期や中止が続いています。このインタビューも、東京都内のレコード会社と、皆さんがいる福岡市内の所属事務所オフィスをビデオ会議で結んで行っています。さて、メンバーの上野遥さん(20)の発案で2月27~29日にかけてレッスン場から「公演」を中継したのに続いて、3月25~31日にかけて6回にわたって劇場から無観客、配信限定での公演が行われました。特に劇場での公演では、メンバーからは「緊張している」という声が相次ぎました。普段の公演とはどう違ったか、改めて印象を聞かせてください。

村重: やっぱりMC(公演やコンサートでのトーク部分)だったりとか、ファンの方からのリアクションがないと、すごく不安になるといいますか...。「本当に大丈夫だったかな?」という気持ちになりながら、でもやっぱり、そういうのが伝わってしまうとだめなので、とにかくみんなで楽しみながら公演をしました。いかにファンの方の存在が大きいか、すごく分かりました。
松岡: ずーっとカメラが前にいるので、歌番組を長時間撮られているみたいな感覚でした。いつも以上に緊張しちゃって、笑顔もこわばったりしちゃったんですけど...。でも、それももっとファンの方に伝わったらいいと思ってやったら、すごく楽しかったです。本当に不思議な感覚でした。
渡部: 普段の公演の配信だとないようなカメラやアングルがたくさんあって、「どこ見たらいいんだろう」と沢山戸惑うこともありましたが、すごく新しい試みでめちゃめちゃ楽しめて、HKT48の公演の良さが引き出せたのではないかと思いました。

―― 新しい試みとして、ツイッターのハッシュタグで質問を募集してMC中に答える、ということをしていましたね。何か面白い質問はありましたか。

運上: 1期生さんが、研究生の公演で「1期生のなかで、推しメンにするなら誰ですか?」と書き込んだりとか...。そういうコミュニケーションは、ファンの方も見ていて楽しかったと思います。

―― 下野由貴さん(22)ですね...!通常の公演はDMM.comで有料配信されていますが、今回はユーチューブとLINE LIVEでも、本編終了まで無料配信されました。ユーチューブのコメント欄を見ると、今回の無料配信で初めてHKT48の劇場公演を見た人もいそうです。

田島: ユーチューブやLINE LIVEは、比較的若い利用者が多いツールだと思います。今までDMM配信しかなかったので、今回の配信を通じて今まで以上に身近に感じていただけて、いつかまた劇場に足を運んでいただけたら嬉しいです。

村重杏奈が客席で「応援する側」に回った理由

村重杏奈さん。無観客公演で「ファンの方からのリアクションがないと、すごく不安になる」などと振り返った (c)Mercury
村重杏奈さん。無観客公演で「ファンの方からのリアクションがないと、すごく不安になる」などと振り返った (c)Mercury

―― 3月27日の「制服の芽」公演の配信では、村重さんが終盤の「仲間の歌」で、客席に降りて応援する側に回っていました。どんな気持ちで応援していましたか。

村重: リハーサルをやっていて、なんて言うのかな...。自分の中で、すごく「病気」が出ちゃって。ファンの方がいないなら、とにかくメンバーを盛り上げるしかないので。他のメンバーの無観客公演をちらっと配信で見たりしましたが、やっぱりファンの方がいないと、メンバーのモチベーションもどんどんどんどん...。本当は上がっていかなきゃいけないのに落ちる傾向になっちゃって...。(ファンが現場にいることは)本当に大事なんですよね。そこで、「仲間の歌」は、一番アンコール前で「落ちやすい」と思っちゃって、居ても立っても居られずにマネジャーさんに「ペンライトを用意してほしい」とお願いして、客席に飛び込んでしまいました。自分の中ではすごく盛り上げているつもりですが、自分もすごく楽しかったですし、メンバーもすごく笑ってくれたし、ファンの方々もすごく(楽しんでくれた)。マネジャーさんによると、「48(グループ)各チームに1人ずつ村重が欲しい」って言われているらしくて。村重の「ふざけ」もたまには役に立つんだなー、と思ってすごくうれしかったです。

―― やはり、村重さんがいらっしゃるのといらっしゃらないのでは、メンバーのモチベーションも全然違うということですね。

田島: 一家に1台欲しい~!
村重: 一家に1台は無理ですけど(笑)、ずっとどんよりしててもしょうがないので、HKT48のメンバーとして、ふざけられる所はふざけて、真面目なときは真面目に頑張っていきたいと思います。

―― 19年のコンサートツアーのサブタイトルは「あの支配人からの、卒業。」で、支配人(指原さん)がタンスに閉じ込められているという設定の寸劇は
「だから大丈夫。タンスを開けない!だって私たち、あの支配人から卒業できたんだから」
という結末でした。指原さんが卒業してもうすぐ1年が経ちますが、指原さんからは「卒業」できたと思いますか。指原さんにあこがれてHKT48のオーディションを受けた運上さん、いかがですか。

コンサートツアーの寸劇は、支配人(指原さん)がタンスに閉じ込められているという設定で進んだ(2019年10月撮影)
コンサートツアーの寸劇は、支配人(指原さん)がタンスに閉じ込められているという設定で進んだ(2019年10月撮影)
運上: 私は割と後輩の方なので、指原さんとお仕事をする機会が少ない方でした。それでもやっぱり、コンサートの時にスタッフさんも気づかないようなところにも気づいたり、メンバーのこと1人1人のことをすごく見てアドバイスをしてくださったりしたので、そういう方がいなくなったというのはすごく大きいとみんな思っていると思います。でも、村重さんだったり、キャプテンの松岡(菜摘)さん、本村(碧唯)さんだったりといった皆さんが、すごく全体を見て発言してくださったり引っ張っていってくださっています。今まで不安な面もありましたが、すごくHKT48全員で支え合って進んでいっている感じがしています。

指原卒コンで涙が枯れ果てた松岡はな「自分自身の気持ち強くなった」

―― 松岡さんは、19年4月の卒業コンサートでは、涙が枯れ果てたようになっていました。今はもう大丈夫ですか。

松岡: 本当にあれから枯れちゃって、もう出なくなっちゃって...。
田島: 確かに泣いてるとこ見てない!
松岡: そうなんです。だから全然泣かなく...泣くときは泣いちゃうんですけど、でも去年全然泣かなくなって、自分自身の気持ちも強くなったというか、しっかりしなくちゃという気持ちがすごく強くなって、いい意味で良かったかなって思います。

―― 強くなりましたかね、この1年で。

松岡: ファンの方にすごく言われます!「頼もしくなった」って言われます。
田島: さしこちゃんが卒業して、みんなの士気も上がってきて、今までは、どこかさしこちゃんに頼っている部分があって、それが、その存在がいることで抜けきれていませんでした。その存在が卒業したということで、みんな一人ひとりが頑張ろうという意識が芽生えてきて、HKT48がメンバー、スタッフ、ファンの方を含めて一丸となって良い空気感になっていると感じます。それを継続して、20年は新劇場もできるので、もっとグループを盛り上げていきたいです。

―― 「ツイン村重」さん(編注:コンサートの寸劇での村重さんの役名。19年から芸能事務所「TWIN PLANET」に所属したことにちなむ)、お願いします。

村重: さしさんの卒業コンサートで、サプライズで事務所を紹介していただきました。もうすぐ「ツインプラネット村重」になって1年です。さしさんが卒業してからもすごいと思うのは、ずっと気にかけてくれたり、村重が出る番組をチェックしてくれたりしていて、連絡もこまめにくださるし...。村重も仕事が決まれば、すぐさしさんに連絡するようにしていますが、そのときに共演者の方がさしさんと仲良かったら、「私の妹みたいな子が行くのでよろしくお願いします」と連絡してくださっているみたいです。初めての現場でも、すごく空気が温かくて。現場が「指原さんにすごく可愛がってもらってるんでしょ?」という会話で始まるので、すごくやりやすいです。

指原莉乃「本当にそういう一発屋みたいなことはやめてほしい」

2019年のコンサートツアーのサブタイトルには「あの支配人からの、卒業。」を掲げた。オープニングでは指原さんの肖像画を囲んでパフォーマンスした(2019年10月撮影)
2019年のコンサートツアーのサブタイトルには「あの支配人からの、卒業。」を掲げた。オープニングでは指原さんの肖像画を囲んでパフォーマンスした(2019年10月撮影)

―― HKT48に関する話題も出ますか。

村重: 最後の最後まで気にかけてくれていて、卒業した今でも「HKT48は最近どうなの?」と聞いてくれます。やっぱりHKT48の親みたいな、HKT48を作ってくれた人だと思うので、これからも感謝していきたいです。村重もHKT48の看板を背負って番組に出させていただいているので、あんまりイメージが悪くならないようにHKT48の良さをどんどんアピールして頑張っていきたいです。
第3回ドラフト会議でHKT48入りが決まった渡部愛加里さんは「さっしーさんがいなかったら、違うグループに行ったか、アイドル自体をしていなかった」と話した (c)Mercury
第3回ドラフト会議でHKT48入りが決まった渡部愛加里さんは「さっしーさんがいなかったら、違うグループに行ったか、アイドル自体をしていなかった」と話した (c)Mercury

―― 同じ事務所に所属する元AKB48の西野未姫さん(20)と動画チャンネル「俺ら」に出演していますが、西野さんは発言が炎上することも多いですね。村重さんはそうではないと思いますが、出演した番組について、指原さんからの「ダメ出し」やアドバイスを受けることもあるのですか。

村重: ありました。「ヤバりんごパーク」という言葉をずっと使っていたんですよ(編注:19年11月に「サンデー・ジャポン」(TBS)に出演した際、東京五輪のマラソンの開催地が札幌に変更されたことについて「マジ、ヤバりんごパークだなと思いました」と発言した)。それは「やめて」と言われました。一時期、「明太子!」という一発ギャグばかりやっていたことがあったのですが、さしさんからは「本当にそういう一発屋みたいなことはやめてほしい」と言われました。「最終的には『有吉反省会』(日本テレビ)の反省する側じゃなくて、コメントする側に行けたら無敵」とも。「今はまだ若いから、そういうイケイケのキャラでもいけるかもしれないけど、ちゃんと考えなきゃだよ」とは言われています。

田島: 確かに、最近「ヤバりんごパーク」は聞かないですね。あんなに毎日言ってたのに!

村重: 未姫ちゃんは未姫ちゃんで、すごくいい子なんですけども。村重と未姫ちゃんは方向性が違うし、HKT48は、びっくりするくらい悪いネタを言うことがマジでないから...。仲いいじゃん?
田島: 確かに!
村重: 炎上させるような発言ではないので、そんなキャラになることはないと思います。

―― 表現が少し難しいところですが、いわゆる「炎上キャラ」をずっと続けていると、タレントとして短命になりがちです。指原さんとしては、息長く活躍できるやり方を考えてくれているのかもしれませんね。

村重: そうですね。きっとそうだと思います。

―― 18年に行われた第3回ドラフト会議では、指原さんが渡部さんのことを猛プッシュしていました。3チームが渡部さんを指名し、指原さんが当たりくじを引いた結果、渡部さんのHKT48入りが決まりました。

渡部: さっしーさんがいなかったら、違うグループに行ったか、アイドル自体をしていなかったと思います。本当に私の人生を変えてくださったのがさっしーさんです。そのさっしーさんが卒業する前は、さっしーさん含めて先輩たちについていくという感じが強かったです。ですが、皆さんが知っているような人が1人抜けるというのはグループにとっては大きなことで、卒業後は、もっと自分も自覚を持って、もっと自分もHKT48の一員だと思って活動しないと、という気持ちが芽生えました。

インタビュー第4回に続く。4月14日掲載予定です)


運上弘菜さん プロフィール
うんじょう・ひろな 1998年生まれ、北海道出身。HKT48 チームKIV所属。16年にHKT48に4期生として加入。17年に行われた「じゃんけん大会」に、3期生の荒巻美咲さんとユニット「fairy w!nk」を組んで出場し、優勝。CDメジャーデビューを果たした。「早送りカレンダー」(18年発売)から3作品連続の選抜入りで、今作品「3−2」では、4期生としては初めてセンターに起用された。18年の総選挙では84位。

田島芽瑠さん プロフィール
たしま・める 2000年生まれ、福岡県出身。HKT48 チームH所属。12年にHKT48に2期生として加入。デビューシングル「スキ!スキ!スキップ!」(13年発売)でセンターを務める。18年の総選挙では26位にランクイン。19年から情報番組「アサデス。」(KBC九州朝日放送)にリポーターとして出演している。趣味は読書で、18年から小説ポータルサイト「小説丸」(小学館)で、コラム「読メル幸せ」を連載している。

田中美久さん プロフィール
たなか・みく 2001年生まれ、熊本県出身。HKT48 チームH所属。13年にHKT48に3期生として加入。同期の矢吹奈子さん(IZ*ONE専任活動中)との「なこみく」コンビとして知られ、11枚目シングル「早送りカレンダー」(18年発売)で、矢吹さんとダブルセンター。「11月のアンクレット」(17年発売)を筆頭に、AKB48のシングル表題曲は計7作品に参加。18年の総選挙で10位にランクインし、上位16人の「選抜」入りした。18年から「熊本2〇19応援大使」を務め、20年1月に初のソロコンサートを開いた。

松岡はなさん プロフィール
まつおか・はな 2000年生まれ、千葉県出身。HKT48 チームTII所属。14年に「バイトAKB」のオーディションに合格し、15年2月まで活動。15年に第2回ドラフト会議で指名されてHKT48に加入。8枚目シングル「最高かよ」(16年発売)、10枚目シングル「キスは待つしかないのでしょうか?」(17年発売)でセンターを務める。「ハイテンション」(16年発売)でAKB48のシングル表題曲に初参加し、「ジワるDAYS」(19年発売)など計7作品に参加。18年の総選挙では66位にランクイン。

村重杏奈さん プロフィール
むらしげ・あんな  1998年生まれ、山口県出身。HKT48 チームKIV所属。11年にHKT48に1期生として加入。母親はロシア出身で、実家ではロシア語も話すバイリンガル。14年から15年にかけてNMB48と兼任。18年の総選挙は不出馬。19年から芸能事務所「TWIN PLANET」に所属。同じ事務所に所属する元AKB48の西野未姫さんと動画チャンネル「俺ら」に出演するほか、「サンデー・ジャポン」(TBS)、「人生が変わる1分間の深イイ話」(日本テレビ)などバラエティー番組にも多数出演。

渡部愛加里さん プロフィール
わたなべ・あかり 2004年生まれ、神奈川県出身。HKT48 チームH所属。18年に行われた第3回ドラフト会議では3チームが渡部さんを指名し、支配人を務めていた指原莉乃さんが抽選で交渉権を獲得してHKT48に加入。18年の総選挙では圏外だった。前作「意志」(19年発売)に続いて2作連続で選抜入り。