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東北の石牟礼道子・・・史上最年長で文藝賞を受賞

  • 書名 おらおらでひとりいぐも
  • 監修・編集・著者名若竹千佐子 著
  • 出版社名河出書房新社
  • 出版年月日2017年11月30日
  • 定価本体1200円+税
  • 判型・ページ数四六判・164ページ
  • ISBN9784309026374
  • 備考第158回芥川賞 受賞作(2018年1月)
BOOKウォッチ編集部コメント

 「おらおらでひとりいぐも」という奇妙な題名を聞いて、「Ora Orade Shitori egumo」(「永訣の朝」の一節)を思い出した方は、相当な宮沢賢治通だろう。
 著者の若竹千佐子さんは賢治と同じ岩手県生まれの63歳。このたび第54回文藝賞を史上最年長で受賞したことでも話題になっている。
 小説は東京オリンピックの年に上京し、結婚、出産、夫の死を経て74歳でひとり暮らしをする桃子さんの日常を描いたものだ。東北弁をずっと使ってこなかったのに、いま東北弁丸出しのことばが心の中にあふれ出る。石牟礼道子さんは九州だが、著者と主人公桃子さんは東北の石牟礼道子さんかと連想した。
 田舎を離れ東京の新興住宅地に独居する老女と聞くと、暗いイメージがするだろうが、桃子さんの思考と生活はきわめて明るい。
 「おらしあわせだったも 身も心も捧げつくしたおらの半生 周蔵のためにためにで三十と一年。満足であった。最高でござんした んだんだほんだんだんだほんだんだんだほんだ」
 ジャズのようにことばが弾ける。
 文藝賞選考委員の斎藤美奈子氏は「桃子さんは、戦後の日本女性を凝縮した存在だ。桃子さんは私のことだ、私の母のことだ、明日の私の姿だ、と感じる人が大勢いるはず」と選評を寄せている。
 週刊文春(2017年12月7日号)「私の読書日記」でエッセイストの酒井順子氏は「他者に所属することから離れた女性の中で渾然となった戸惑いと解放感が、見事に描かれている」と評する。
 版元の河出書房新社のブログには「青春小説ならぬ玄冬小説」という惹句があった。著者は55歳から小説講座に通いはじめ、8年がかりで本作を書いたという。今や日本の女性の3割は、65歳以上の高齢者という時代。まだそこにも至らない著者のこれからは輝いている。

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