読むべき本、見逃していない?

世界でもっとも有名なデザートは?

  • 書名 歴史をつくった洋菓子たち
  • サブタイトルキリスト教、シェイクスピアからナポレオンまで
  • 監修・編集・著者名長尾健二 著
  • 出版社名築地書館
  • 出版年月日2017年12月11日
  • 定価本体2400円+税
  • 判型・ページ数B6判・308ページ
  • ISBN9784806715498
BOOKウォッチ編集部コメント

 今日はクリスマス。洋菓子を好きだという人はいても、嫌いだという人は余り聞かない。それほど日本人に洋菓子は定着している。

 シュークリームやショートケーキという昔ながらの定番から、最近は舌を噛みそうな名前の新しいものまでいろいろあって、ケーキ屋さんの店頭には女性客が引きも切らない。ちょっとおしゃれなレストランなら、最後に出てくるデザートが楽しみだ。

信仰心と食い意地を両立

 ところで、ケーキやデザート、スイーツ類の名前には詳しくても、その由緒を知る人は少ないのではないか。本書『歴史をつくった洋菓子たち』は、なじみの洋菓子のルーツをさかのぼり、エピソードも添えて種明かしする。

 著者の長尾健二さんは長く日本洋菓子協会連合会に勤め、洋菓子専門月刊誌「ガトー」の編集に携わってきた洋菓子の生き字引だ。本書を書くにあたっては、欧州の文献や雑誌にも目配りし、洋菓子をはぐくんできた文化と歴史を一望する。

 著者が特に力を入れているのは、第一部の「文化史としての洋菓子の歴史」だろう。私たちが何気なく口にする御菓子が、いかにキリスト教の伝統と深い関係にあるか、熱っぽく語られる。たとえばブランマンジェ。もともとはアーモンドが主材料で、卵も砂糖も入らないものだった。キリスト教の断食の季節に、禁忌ではない食材を使ってつくったことによる。信仰心と食い意地を両立させた苦心の洋菓子なのだ。

華麗でゴージャスな演出

 第二部の「おしゃべりな洋菓子たち」では、おなじみのクレープやアップルパイ、マドレーヌなどについて、著者の薀蓄が披露される。個々の菓子の説明では、イントロに有名作家の作品などから引用したフレーズが掲載され、話に厚みをつける。本書のサブタイトル、「キリスト教、シェイクスピアからナポレオンまで」という文言には、西欧文化を凝縮したものが洋菓子なのだという著者の持論と矜持がうかがえる。

 解説は非常に詳しく、逸話類も豊富で奥が深い。なかでも「へぇー」と驚いたのは世界でもっとも有名なデザートとして、クレープ・シュゼットが挙げられていること。本格的なサービスで提供される場合に、手が込んでいることがその理由だそうだ。身なりを整えた給仕係がワゴンに載せて運んできて、照明を暗くし、リキュールに火をつける。華麗でゴージャスな演出に女性客は目を奪われ、感動するというわけだ。

 最近はケーキ職人、パティシエの人気も高い。「住みたい街」のランキング上位の駅周辺には必ず、人気のケーキ屋さんがある。料理教室などで洋菓子に挑戦する人も少なくない。300ページを超える本書は索引や引用資料も充実している。大好きな洋菓子の歴史と文化を正しく知ることができる真っ当な解説書だ。

オンライン書店で詳しく見る(購入もできます)

デイリーBOOKウォッチの一覧

一覧をみる >

当サイトご覧の皆様!

おすすめの本を教えてください。
本のリクエスト承ります!

出版社の皆様!

御社の書籍も、
BOOKウォッチに
掲載してみませんか?

sub