読むべき本、見逃していない?

「蒼き狼」の本拠地になぜ恐竜が...

  • 書名 モンゴル・ゴビに恐竜化石を求めて
  • 監修・編集・著者名柴正博 (著)
  • 出版社名東海大学出版部
  • 出版年月日2018年6月11日
  • 定価本体2000円+税
  • 判型・ページ数A5判・152ページ
  • ISBN9784486037392
BOOKウォッチ編集部コメント

 モンゴルはロマンをかきたてる国だ。どこまでも続く草原。空前の英雄チンギスハーン。騎馬軍団を率いてユーラシア大陸を席巻した。加えてもう一つのロマンがある。モンゴルは世界有数の恐竜化石の産出地なのだ。貴重な全身骨格がいくつも見つかっている。「蒼き狼」と呼ばれたチンギスハーンの本拠地になぜ恐竜が・・・。

 本書『モンゴル・ゴビに恐竜化石を求めて』(東海大学出版部)はそのモンゴルで恐竜探しをした報告記だ。著者の柴正博さんは1952年生まれ。元東海大学海洋学部博物館学芸員。

「通へる夢は昆崙の高嶺の此方ゴビの原」

 朝青龍、白鵬、鶴竜など横綱を次々と生み出し、モンゴルはすっかりおなじみの国になった。顔は日本人に似ているし、横綱たちは日本語を流暢にしゃべる。なんだか親戚の国のような気分にもなる。

 しかし、地理的な環境は日本とは天地の差がある。日本の4倍の面積に300万人ほどしか住んでいない。恐竜化石の宝庫になっているのは、南部に広がるゴビ砂漠だ。

 著者の柴さんは何度も現地を訪れてきた。本書はとりわけ長期に滞在した94年の調査記録をもとにしている。

 草原地帯と砂漠の国ということで、何となく平らな大地を想像していたのだが、本書に多数掲載されている写真を見ると、かなり山塊がある。まるで、グランドキャニオンのような場所まである。西はアルタイ山脈、北はサヤン山脈など3000~4000メートル級の山々。そういえば旧制三高寮歌にも「通へる夢は昆崙の高嶺の此方ゴビの原」という一節があった。全体は高原だが、険しい山や砂漠もある国ということだ。

新種の巨大ダニを持ち帰っていた

 本書でいくつかのことを知った。まずモンゴル民族は多部族だということ。17の部族の集合体だという。また、中国はもちろん、カスピ海沿岸やアフガニスタン、チベットなど、広くアジアのあちこちに今もモンゴル族が分散している。チンギスハーンの末裔とされている。

 そしてなぜゴビ砂漠で恐竜の全身骨格が見つかるのか。普通の地層では、堆積に時間がかかり、風化が進み、バラバラになる。ところが砂嵐などで短時間で埋まってしまうと、全身骨格で残る確率が高まる。じっさい砂岩層から見つかることが多いという。やはり砂漠という特性が大きいようだ。著者も苦労のすえ、現地で恐竜の化石を発見することができた。

 ゴビ砂漠では周囲100キロ、200キロに人家がない。もちろん道もない。車が泥土で動けなくなったかと思うと、突然の吹雪。野生の馬やヤクの群れと出合う。モンゴルの田舎の人たちは、いまでもほとんど自給自足で暮らしているという。厳しい自然の中で自然の恵みを利用し自然に溶け込む。柴さんが調査を終えて日本に帰国したときは、しっかり現地から新種の巨大ダニを持ち帰っていたそうだ。発掘調査というよりも探検に近い日々、ごくろうさまでした。

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