読むべき本、見逃していない?

冬の定番ブーツも「おしゃれ」だけで選んじゃダメ

  • 書名 健康長寿は靴で決まる
  • 監修・編集・著者名かじやま すみこ 著
  • 出版社名文藝春秋
  • 出版年月日2018年10月19日
  • 定価本体850円+税
  • 判型・ページ数新書・224ページ
  • ISBN9784166611881
BOOKウォッチ編集部コメント

 「人生100年時代」を迎えて、いつまでも自分の力で歩くためには膝や腰の強化が大切とサプリやトレーニングマシンの広告や宣伝が盛んだが、本書『健康長寿は靴で決まる』(文藝春秋)は、何よりも靴選びの重要性を訴える。多少大きくても、キツくても、履きやすければOK―というような具合で靴選びをしている人は危険。合わない靴を履き続けた結果、寝たきり生活になってしまう可能性があるという。

リハビリで分かった「違い」

 著者のかじやますみこさんは、歩行中に交通事故に遭い大腿骨を骨折。股関節の手術とリハビリを経験し、その間に足と靴の関係が身体全体の健康に影響することを知ったという。

 手術後の歩行訓練で患部のある方の脚部をかばってうまく足を着地できず訓練もままならない。理学療法士のアドバイスで靴にインソール(パッド)を入れてみたところ痛みがなくなり歩行が安定。「すごい! 全然違う」とうれしさのあまり、思わず声が出たほどだった。「足や靴の問題が、膝や歩行に多大な影響を及ぼしていることを身を持って実感したものだ。

 かじやまさんは、テレビ局制作部勤務を経て米ニューヨーク大学大学院で修士課程を修了し、ノンフィクション作家として「梶山寿子」名で、経営者、アーティストなどの評伝に取り組む一方、「かじやますみこ」として、本書のほかリハビリ経験を生かした『人生100年、自分の足で歩く』(プレジデント社)『長く働けるからだをつくる』(インプレス)などの著作を重ねている。

足が「つる」状態になりやすく

 リハビリで「全然違う」と実感したのをきっかけに足の健康について知見を深めるように努め、自分の歩行改善に劇的効果があったのは「足のアーチ」への手当があったことを知る。アーチは足の土踏まずの部分。インソールのパッドが効いたのは、ここがつぶれたようになり偏平足になっていたから。アーチは歩行時に衝撃を吸収し前進する推進力を生む機能を持つ。これがつぶれると衝撃を吸収できず、腰や膝などから身体全体に負担がかかることになる。

 就寝時に足がつり、まさにつった感じの激しい痛みに襲われ目が覚めた経験をお持ちの方はけっこう多いのではなかろうか。この現象もアーチの不具合が原因。アーチがさがってつぶれてしまうと足裏の筋肉がこれを引っ張りあげようと運動する。これに連動するふくらはぎの筋肉もいつも緊張状態を強いられ、夜中にそれが緩むと「つる」状態になりやすいという。

3つのアーチ

 自分の足を見てみればすぐ分かるように、足裏の面積は非常に小さい。歩行時に接地する部分はさらに小さく、そのわずかな面だけで、歩行時には体重の約1.2倍、走行時には約3倍の負荷を支えている。そうした困難な仕事を繰り返してできるのは、足には細かい骨が複雑に組み合わさり精密機械のように動いているから。

 精密機械のような足の構造で、もっとも重要な役割を果たしているのがアーチ構造で、縦2本、横1本の3つのアーチがある。土踏まずを形成するのは縦の1本である「内側アーチ」。縦のもう1本は、小指の付け根とかかとを結ぶ「外側アーチ」で、横の1本は、親指の付け根と小指の付け根を結ぶ「横アーチ」だ。「アーチ構造は、橋にも使われるほど力学的に優れたもの。カメラの三脚をみてもわかるように、3点で支えることも抜群の安定性につながる」。

 これらのアーチ構造のうち、たとえば内側アーチが低下すると偏平足、横アーチが崩れ足幅がペタッと広がると開帳足といわれ、安定性にヒビが入り始める。こうしたトラブルがあると、ちょっと歩いただけで疲れやすくなり、着地の衝撃が吸収できず膝や腰に負担が及ぶ。放っておけば全身のバランスの崩れを招き骨盤のゆがみなどを生じさせる。

「靴の命」は...

 日本人は長い間、履物といえば素足に下駄や草履で、靴を使い始めたのは150年ほど前から。欧米に比べて歴史は浅いとはいえ、そろそろ靴選びに慎重さが増してもいいころなのだが、本書によれば、残念ながら「多くの人は間違った靴選びをして、足の構造のゆがみに拍車をかけている」のが現状という。

 これからの季節に街角で多くみられることになるムートンブーツ。「窮屈ではないし、暖かくておしゃれ」と、男女を問わずこの数年、若者を中心に流行しているが、寒いからといって愛用が過ぎるのはNGという。「靴の命」とされるかかとがふにゃふにゃなモデルが多く、足を支えることができない場合が多いからだ。

 靴を購入する際には、本書によれば、しっかり試し履きをするのが肝心。靴の機能として求められるのはまず、かかとの関節をがっちりホールドすることという。履いてみてスポッと抜けてしまうものは避けるべきだ。さらには、足指の付け根で曲げられるかなどをチェックすることなどをアドバイスする。

「足病医学」の知見を採り入れ

 そのほか、靴ひもを結んだまま足を入れる、かかとを踏みつぶすようにして革靴を履く、「歩きやすいから」と大きめの靴を履く...。「かかとスポッ」と合わせ、いずれも「危険な靴の履き方、選び方」。

 著者は繰り返し「合わない靴は足の骨格の崩れを助長し、外反母趾や陥入爪(巻き爪)など、さまざまな足のトラブルにつながる」と警告。「こうしたひずみが腰や膝、股関節の負担となり、加齢によって筋肉が衰えてくると、やがて歩行や日常生活にも支障が出て...。最悪の場合、寝たきりになってしまう」とも。日本では著しく遅れているという「足病医学」の知見を採り入れての指摘とされ、靴選びの臨み方を変えなければという気になった。

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