読むべき本、見逃していない?

「偏差値80」・・・東大医学部並みの難関城がある

  • 書名 一度は行くべき行きにくい城
  • 監修・編集・著者名中地拓也 写真・文、縄田美央 デザイン
  • 出版社名双葉社
  • 出版年月日2019年3月23日
  • 定価本体1350円+税
  • 判型・ページ数B5判・95ページ
  • ISBN9784575457896
BOOKウォッチ編集部コメント

 空前の城ブームだという。2006年に日本城郭協会によって「日本100名城」が選定されたのがきっかけとされ、関心も従来の天守閣から石垣へと広がりを見せている。外国人観光客の姿も目立つ。

 本書『一度は行くべき行きにくい城』(双葉社スーパームック)によると、最近は「山城」の人気が高まり、「土の城」も市民権を得ているという。評者もテレビで神奈川県小田原郊外の山城を見て、大きな空堀に目を見張ったことがある。

行きにくいから遺構残る

 著者の中地拓也さんによると、「アクセスが悪い城は往々にして遺構がよく残っている」のだそうだ。だから「観るべきもの」があり、「城観察力を高める」ことができるという。

 本書は「行きにくい城」を初級編、中級編、上級編、変態編の4ランクに分類、全国32の城を紹介している。

 天空の城として知られる兵庫県朝来市の竹田城は、「知名度も技術も一級の総石垣城」として取り上げられている。「行きにくい」偏差値は57で初級だ。

 首都圏で行ってみたいと思ったのは、茨城県坂東市の逆井城。北条氏が1577年、北関東の拠点として築城した。かつては土塁や堀の一部が残る程度だったが、発掘調査をもとに二層櫓、井楼矢倉などを再現し、戦国時代の雰囲気が漂う。圏央道の境古河インターから約30分。偏差値も54なので手頃だ。

 評者が行ったことがある城が中に一つだけあった。岐阜県中津川市の苗木城だ。偏差値は56。書影にある通り、「人に見せたい密林の絶景」というフレーズがぴったりの城だ。木曽川に面する標高426メートルの山に築かれた天然の要害。江戸時代には遠山氏が1万石を領して12代居城したが、「なんでこんな山の中に」と思うような不便なところにある。著者は「展望台に立てば、壮大な景色の中でとても爽快な気分が味わえる。さらに、密林に埋れる石垣の妖しさも感じられる。城好きならずとも必訪の城である」と勧めている。

 多くの時間と金を割かなければ行けない「変態」級の城とはどんな城なのか。高偏差値の二つを紹介しよう。

100%迷う城も

 まず、偏差値74の小田原市の御所山城は、豊臣秀吉が1590年の小田原攻めの際に築いた石垣山城の西にある。箱根ターンパイクの脇にあるが、「ほぼ100%迷う。携帯も通じない」ので「一人で行ってはいけない!」と警告している。

 さらに偏差値80と本書の最難関とされるのが、山梨県富士河口湖町と笛吹市にある御坂城だ。標高1600メートル、おそらく日本で最も高いところにあり、近年まで発見されなかった。南北に長く、尾根の最も低いところに主要部がある珍しい構造だ。北条氏が徳川勢の侵入を防ぐために作ったと見られる。片道2時間の登山が必要だが、山の上に長大な横堀が掘られた様は往時をしのばせる。

 中地さんには『日本の名城 写真図鑑103』(双葉社スーパームック)という著書があり、本書でも一眼レフカメラによる「山城」撮影術を紹介している。暗くなりがちなので、「バウンスアダプター」をフラッシュに後ろ向きにつけると全体に光が回るとか、「枡形虎口」は角に立てば、「袋のネズミ感」が出るなどの実践的なアドバイスをしている。

 平成から令和への元号かわりの10連休。あまり人が行かない山城は穴場かもしれない。評者の実家近くにも「迷遺構を抱える巨大山城」があることがわかった。偏差値58.5、秋田県能代市の檜山城だ。詳しいガイドと地図も付いているので、本書片手に行ってみることにした。

 関連で本欄では『石垣の名城 完全ガイド』(講談社)を紹介している。

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