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『笑っていいとも!』終了が告げていた「平成」の終わり

  • 書名 教養としての平成お笑い史
  • 監修・編集・著者名ラリー遠田 著
  • 出版社名ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 出版年月日2019年3月15日
  • 定価本体1000円+税
  • 判型・ページ数新書判・261ページ
  • ISBN9784799324516

 本書『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)は、14の「事件」を題材にして平成のお笑いの歴史を振り返っている。

 著者のラリー遠田さんは、東大文学部卒のお笑い評論家。著書に『この芸人を見よ!』(サイゾー)、『M-1戦国史』(メディアファクトリー新書)などがある。

 以下の14の事件で各章を構成している。

 1 1992年(平成4年) 明石家さんま離婚
 2 1994年(平成6年) ビートたけしバイク事故
 3 1995年(平成7年) 山田邦子、不倫報道で人気凋落
 4 1997年(平成9年) 松本人志『ごっつええ感じ』降板
 5 1998年(平成10年) 萩本欽一、長野五輪閉会式の司会
 6 2000年(平成12年) 上岡龍太郎、引退
 7 2003年(平成15年) 笑福亭鶴瓶、深夜の生放送で局部露出
 8 2007年(平成19年) 有吉弘行、品川祐に「おしゃべりクソ野郎」発言
 9 2007年(平成19年) サンドウィッチマン『M-1』で敗者復活から優勝
 10 2010年(平成22年) スリムクラブ『M-1』で放射能ネタ
 11 2011年(平成23年) 島田紳助、引退
 12 2014年(平成26年) タモリ『笑っていいとも!』終了
 13 2015年(平成27年) 又吉直樹、芥川賞受賞
 14 2016年(平成28年) ピコ太郎『PPAP』が世界中で大ヒット

 遠田さんは、事件には時代性があり、時代の空気がつかめるはずだとして、事件に注目したという。

 昭和末期の1980年代に空前の「漫才ブーム」が起きて、タモリ、たけし、さんまの「お笑いビッグ3」が勢いに乗っていた。平成に入り、とんねるず、ウッチャンナンチャン、ダウンタウンなど、「お笑い第三世代」が台頭し始めたという。そんな見取り図を頭に入れておくといい。

タモリとスタッフの確執

 どこから読んでもいいが、評者が最も関心をもったのが、第12章「タモリ『笑っていいとも!』終了」だ。32年続いた番組だが、2013年頃からタモリとスタッフの間に不協和音があったという。40歳以上の主婦層をターゲットにした演出にタモリが反対し、時にはコーナーから姿を消すことがあったそうだ。

 降板を申し出たタモリをフジテレビは引き止めたが、意志は固かった。2013年10月22日の放送に、突然笑福亭鶴瓶が乱入し、タモリが翌年3月での終了を告げた。

 平日の昼の放送なので、実際に番組を見る人は少ないが、『笑っていいとも!』が続いていることが、日常の象徴であり、「平成」の気分のようなものだった、と感じていた人も多いだろう。番組の終了が、いずれ訪れるであろう「平成」の終わりを予告していたような気がする。

 番組から解放されたタモリは、NHKの『ブラタモリ』に出演、日本各地や海外にも出かけるようになり、「自由」を満喫しているように見える。番組終了時点で68歳だったタモリの優雅なシニアライフは、視聴者にとっても望ましいものである。

 趣味や関心が多様化し、「お笑い芸人」しか共通の話題がない時代だ。だからこそ、朝から晩まで、彼らの姿がテレビに登場する。又吉直樹の芥川賞受賞やピコ太郎『PPAP』の世界的大ヒットは、従来の「お笑い芸人」像を打ち破るものだ。変化の兆しはある。「令和」の時代には、どんな「お笑い芸人」が登場するのだろうか。

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