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「今年の3年生はかわいそう」 逆風・早大生の「就活事情」

   秋の気配が深まる11月。東京ビッグサイトなどのイベント会場では、2010年卒の学生を対象にした企業の合同説明会が盛んに行われている。景気後退の影響で「就職氷河期の再来」もささやかれるなか、学生たちはどんな思いで「シューカツ」に取り組んでいるのか。名門・早稲田大学の3年生に聞いてみた。

「去年より採用人数が減りそうだから、不安」

大隈重信が126年前に創立した伝統校・早稲田大学。学園祭の人気はナンバー1だが、就職となると話は別だ
大隈重信が126年前に創立した伝統校・早稲田大学。学園祭の人気はナンバー1だが、就職となると話は別だ

   就職情報サイト運営の毎日コミュニケーションズが2008年11月12日に発表したアンケート結果によると、2010年卒業予定の学生の9割が「自分たちの就職活動は厳しくなる」と回答した。そのような不安は、就職に強いと言われる早稲田の学生でも同じだ。

「すごく心配。多少は採用するらしいけど、去年と同じとまでは行かないと思う」(A子さん)
「大学への求人数も減っているし、去年より減りそうだから不安」(B男くん)

   7月からインターシップへ応募するなどボチボチと就職活動をしているC男くんは、大学の廊下で先生に会ったとき

「今年の3年生はかわいそうだね」

と言われたという。出版社が第一志望だが、採用が厳しいのは目に見えているので、ロースクールにいくべきか迷っている。

リーマンショックで外資から公務員へ

   景気が悪化すれば、増えるのが公務員志望者だ。「在野」というイメージが強い早稲田だが、実際には公務員を目指す学生もたくさんいる。

「友人の間でも、採用人数減を恐れて公務員の道を考え始めたやつがいる。予備校に行ってるけど、講師も生徒が増えていると言っていた」

と、自身も公務員志望のD男くん。また運輸業界への就職を考えているE男くんも

「友達がドイツ銀行のインターンに参加したけど、リーマンショックの後で国一(国家公務員一種)にするか考えていた」

と話している。ただ、国家一種の試験に通って中央官庁に入っても"東大の壁"があるのが現実。早稲田の場合は、東京都庁などの地方公務員志望が多いようだ。

   民間志望の場合、人気があるのは商社や金融、マスコミなど。特に、早稲田出身者が多いマスコミにひかれる学生は多い。ただ、マスコミといっても、新聞・出版・ラジオといった"斜陽産業"を目指す者は少なく、人気はテレビと広告に集中している。

「新聞志望というのはほとんど聞かない。みんな読まないし。やっぱり多いのはテレビで、アナウンサー志望も多い。最近はかわいくなくても女子アナになれるから(笑)」(C男くん)

「早稲田で慶応に対抗できるのは、政経くらい」

   ブランド校として他の大学よりも就活を有利に進められる早大生だが、公務員志望のF子さんは「慶応のほうが内定率が高いイメージ」という。金融志望のG男くんも

「慶応生はスタートが早く、情報量が桁違い。就活仲間づくり、コネ作りもうまいし、がっつき度合いも早稲田の学生とは違う。早稲田で対抗できるのは政経くらい」

と、早慶の格差を強調する。要領の良さも慶応のほうが上のようで、マスコミ志望のH男くんは

「グループワークとかしてると、早稲田が切り込んで慶応が後からちゃっかり付いてくる感じが強い。単独行動をする慶応生を見たことがあまりない」

と慶応の学生の行動パターンを指摘する。

「就職したいなら慶応にお行きなさい。あそこは就職予備校だから」(C男くん)

という意見もあるが、いまさらそんなことを言われても困る。

「早稲田もまだブランドとして通用する気がする。そう期待している」(B男くん)

というのが、全早大生の本音だろう。