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正しいことを言えば言うほど人望を失う(近藤勝重)

   どこの職場にも「正論」を振りかざしたがる人がいる。だが、そんな人に人望があるかといえば、必ずしもそうではない。それどころか、正しいことを言いすぎて人間関係がうまくいかなくなることもある。

   「正しいことを言えば言うほど人望を失う」。そう断言するのは、元サンデー毎日編集長の近藤勝重だ。新書『なぜあの人は人望を集めるのか その聞き方と話し方』で、次のように「正しいこと」の危険性を指摘している。

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正しいことにこだわりすぎる生き方はしんどい

近藤勝重『なぜあの人は人望を集めるのか その聞き方と話し方』(幻冬舎新書)
近藤勝重『なぜあの人は人望を集めるのか その聞き方と話し方』(幻冬舎新書)
   正しいことというのは、その人が思っているほど相手には受け入れられていないことがけっこうあります。そればかりか正しいことを言われると、しんどくなってしまいます。

   ……当然反論はしにくい。でも反発はしたくなるんですね。反論はしづらいけれど気持ちのうえでは反発する。といって面と向かって反発したらかえってしんどくなると思うから、不承不承黙りこんでしまう。するとなおさらしんどくなる。悪循環です。

   「タバコは健康に良くないよ」。それはそうでしょう。そんなこと、わかってますよ。でも、だからなんなの? と相手は思っているかもしれません。

   ……いくら相手のことをわかっているつもりでも、相手が本当のところどう考えているかといったことは実際にはわかりません。人の心というのは闇の中です。ですから結局、正しいことというのも自分の世界の中での判断でしかないのです。

   ……けれど、どうしても白黒をはっきりさせたいというタイプの人がいますね。そういう人はなにかと衝突してしまう。議論になったときも、なんとしてでも勝とうとする。

   でもそういう生き方ってしんどいだろうなあと思います。およそ人望のある人の生き方ではないでしょうね。

近藤勝重『なぜあの人は人望を集めるのか その聞き方と話し方』〔幻冬舎新書46~49頁〕より)

(会社ウォッチ編集者Sのひとこと)
いかにして人望を集めるか、というよりはどういう人が人望を集めているか、という視点で語られていく一冊。一つ一つの章が短くて簡潔だから、ちょっとした空き時間にサクサクっと読めるのがありがたい。

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